PROJECT 素材から食卓まで。
ニーズに応えるプロジェクト
PROJECT 03

文化や習慣を乗り越えて
海外工場生産ライン増設を完遂

〜タイ・プレミックス工場〜

内容は取材撮影当時のものです。

近年のアジア市場でのプレミックス需要の高まりに応えて、タイ・プレミックス工場の生産ライン増設プロジェクトがスタートした。既存ラインを稼働させながらの増設は、さまざまな技術的課題に直面したが、プロジェクトメンバーがそれ以上に心を配ったのは、正確で緻密な日本式の工事を、異なる文化のなかで着実に進行することだった。

語る社員

MEMBER
K.Y.(製造)
K.Y.(製造)
生産・技術部
(当時 ニップンタイランド社)
入社15年目 生物系卒
K.T.(プラント)
K.T.(プラント)
プラント部
入社15年目 機械系卒

プレミックスの需要拡大に対応するとともに、
安全性と効率性の向上も目指す。

2006年に設立されたニップン・タイランドではプレミックスの製造を行っており、近年、その工場はフル稼働に近づいていた。そんな中プレミックスの需要はさらに高まりを見せており、製造ラインの増設は喫緊の課題に。そこで動き出したのが、このプロジェクトだ。ライン増設だけではなく、清掃作業の効率化、倉庫の拡張など、多岐にわたる目的を持って、プロジェクトが始動した。

対談中の様子 K.Y.
K.T.(プラント)
ニップンのタイへの進出は、販社であるニッポンフラワーミルズ(タイランド)の設立を足がかりにスタートしました。その後、日系企業のお客さまの需要に応えるために2006年3月に製造会社、ニップン・タイランドを設立し、2008年2月よりプレミックスの製造を開始しました。今回のプロジェクトは、そのタイ工場の生産ライン増設を目的としたものです。背景については、当時ニップン・タイランドで生産部ゼネラル・マネージャーを務めていたK.Y.さんの方が詳しいでしょう。
K.Y.(製造)
背景としては、プレミックス出荷量が増加したことが挙げられます。当時、タイでの食の欧米化が進んでいることもあり、大手のチキンパッカーにおいても製造ラインの増設計画が相次いでおり、今後もタイでのプレミックス製品の需要は確実に増えてくものと考えられていました。一方で、当社プレミックス工場の製造量はフル稼働に近づいていたことから、タイでのミックス事業をさらに発展させるためには製造ラインを増設することが必要と判断しました。
K.T.(プラント)
本プロジェクトですが、現地を交えて本格的に動き出したのは検討開始の翌年からですね。年明けから小規模な打合せを開始し、3月から準備工事、4月から本格的に工事を開始しました。増産ラインでの製造運転を開始したのは10月です。ほぼスケジュール通りにプロジェクトは完遂されました。
K.Y.(製造)
このプロジェクトではラインの清掃効率と清掃安全性を高め、製造効率を向上させることも目的のひとつでした。プレミックス工場では、製造品目が変わる度に製造ラインを清掃する必要があることから、清掃作業を安全かつ迅速に行うことが製造効率に直結するのです。また、製造ラインの増設に合わせて製品倉庫を拡張し、社員の職場環境を整えるため、食堂や更衣室の拡張も行いました。

日本での基本設計と、現地での取りまとめ。
信頼できる仲間だからこそ任せられた。

現地工事が始まるまでは、日本とタイをテレビ会議でつないでのやりとりが続いた。日本側では設計、配置、機械選定などを行い、タイ側では開発に関わる細かい改善要望を取り纏めフィードバックする。同期入社の2人だからこそ、緻密な連携を取りながらお互いを信頼して任せることができた。

対談中の様子 K.T.
K.T.(プラント)
現地工事開始までは、私が日本で増設ラインの設計、配置、機械選定などを行い、K.Y.さんには現地で増設ラインに関する要望のとりまとめから、製造マネジャーとの打ち合わせ、安全管理体制の構築など、現場実務を取り仕切ってもらいました。
K.Y.(製造)
最初にK.T.さんから増設ラインの基本構造を示してもらい、私は従業員たちの要望や生産ラインの立場から細かい改善要望をフィードバックする。そんなやりとりをテレビ会議などで何度も行いました。互いにディスカッションし、過去よりも作業性、清掃性に優れたラインをめざしました。K.T.さんとは同期入社なので、要望も言いやすかったですね。
K.T.(プラント)
私もK.Y.さんには全幅の信頼を置いていました。ラインの設計が固まり、工事に入ってからは月に1度タイに出張して現地の建築会社や設備業者と打合せを行いましたが、日々の工事管理はK.Y.さんにお願いしていました。安全管理のために、現地の設備担当者に日々の工事チェックシート内容を確認してもらったり、工事日程と生産スケジュールの調整を行ってもらったり。本格的に工事がスタートしてからは私も現地に常駐し、工事の指揮をとりましたが、それまで日本にいながらスケジュール通り工事を進められたのはK.Y.さんによるところが大きかったといえます。
K.Y.(製造)
気を付けていたのは、増設工事中の安全確認です。既存ラインが稼働するなかでの工事でしたから、養生は十分かなど、異物混入防止という点には特に注意しました。また、現地の安全管理担当者と設備担当者に毎日現場の状況を確認させ、工事業者にも作業日報を毎日記録してもらいました。I.T.さんの定期訪問時には、一緒に安全パトロールを行い、確認すべきポイントや留意点を共有することで確認事項が全体的にレベルアップされました。
テレビ会議中の様子 K.T.

日本式の緻密で正確な工事をいかに理解してもらうか。
文化や習慣の壁を越える難しさとおもしろさ。

ライン増設工事は、既存ラインを稼働しながら行われた。異物混入を防ぐための養生や入出経路の限定、工事スケジュールの調整など、さまざまな工夫が行われた。なかでも最も気を遣ったのは、現地の工事関係者とのコミュニケーション。現地の文化・習慣を尊重しながらいかに日本式の工事を理解してもらうか。丁寧で真摯な説明が求められた。

対談中の様子 K.T.
K.T.(プラント)
技術的なことでは、既存ラインが稼働する製造室の横で工事を行うことから、生産に与える影響を遮断するための工夫が必要でした。異物を既存ラインに持ち込ませないための養生や、工事者の入出経路や既存製造室との完全区画分け、既存製造室内での工事が必要な場合は、生産ラインが停止する休日に工事を行えるよう、細かくスケジュールを調整する必要がありました。タイミングを逃せば1週間後しかできない工事もあり、工程管理と業者のコントロールが重要でした。その日に行いたい工事内容を建築会社や設備担当者と共有し、製品、人、設備の安全に問題ない経路、工事範囲かを確認しながらの工事でした。
K.Y.(製造)
工事期間にはいくつかのトラブルもありました。たとえばタイ現地の役所との許可手続きが当初の予定より時間がかかり、一時増設工事を中断しなければなりませんでした。最終的には許可手続きも完了し、その後のスケジュールを調整することで、予定通りに完工できましたが、日本ではあまり考えられない問題でしたね。
K.T.(プラント)
そういう意味では、日本式の緻密で正確な工事を進めるために、現地の文化や慣習を尊重しつつも、工事関係者に日本のやり方を理解してもらうことがプロジェクトの肝でした。とくに安全管理者や建築業者の作業員に食品工場内での工事には厳格な規律が必要であることをどう理解してもらうかに心を配りました。なぜ作業員の動線を限定しなくてはいけないのか、どうしてそこまで細かく作業ルールが規定されているのか。食品工場でのルールの重要性をしっかり説明する必要がありました。
K.Y.(製造)
タイの人たちは、なんというか、その、おおらかですからね(笑)。頭ごなしにルールを押し付けても混乱するだけです。現地の人々に私たちの考え方を理解してもらえるよう、また彼らにも思ったことを発言してもらえるよう、双方向のコミュニケーションができる関係づくりを心がけました。それは工事の手法やルールだけでなく、スケジュール管理にしても同様です。多くの人員が関わるプロジェクトでしたから、毎週定期ミーティングを開催し、スケジュールの進捗率を管理しました。
K.T.(プラント)
先にも触れましたが、その日を逃すと1週間後にしかできない工事もありましたからね。細かな工程管理が全体の進捗管理にも関わることを丁寧に説明し、理解してもらう必要がありました。文化や習慣を乗り越えて、目標を共有し、実現する。それが海外での工事の難しさであり、またおもしろさでもあるのかもしれません。

製造数量・販売数量の月間記録を樹立。
世界の需要に応えるとともに得た手応えとは。

新ライン稼働から1カ月後には製造数量・販売数量ともに、当時の月間最高記録を樹立し、世界的なプレミックスの需要拡大に応えていた。しかし、プロジェクトの成果はそれだけではない。部署間の連携や現地従業員とのコミュニケーション、海外でのプラント建設のノウハウなど、今後さらなる海外事業を推進するための多くの手応えが、そこにはあった。

対談中の様子 K.Y.
K.Y.(製造)
ひとつは他部署との協力・連携が重要だということ。そして現地従業員とのコミュニケーションの大切さを改めて認識したことでしょうか。私自身は現地責任者として、工事を側面からサポートした立場ですが、このプロジェクトに参加して、あらためて現地の人々と意識や理解を共有することの大切さを感じました。
K.T.(プラント)
今回のプロジェクトは海外で実施されたこともあり、文化の違いや関連法の違いがどう工事に影響するか、何に留意しなくてはならないかを考えるきっかけになりました。プレミックスの需要は世界的に伸びており、今後は海外でプラント建設を行う機会が増えると思います。今回の経験は多角的な視点を得たという点で、今後に大いに役立つと思います。
K.Y.(製造)
お客さまのニーズに応え、安全な製品を供給することが私たちの使命ですが、予定通りプロジェクトを完遂したことで、新ライン稼働翌月には製造数量・販売数量ともに、当時の月間最高記録となりました。現場作業者を増員することなく、この増産に対応できたのは、新ラインのおかげです。
K.T.(プラント)
タイ工場は将来の拡張を見込んで敷地に余裕を持たせてありますから、アジア市場の発展次第ではさらに生産ラインの増強も考えられます。これからは海外事業の拡大がいっそう進むことは確実ですから、我々もよりグローバルな視点が必要になりますね。
タイ工場の社屋