エネルギー出納に関する研究は、少しずつ進んできているとは言え、その評価は困難です。管理栄養士が対象者の身体活動記録と食事記録からエネルギーの消費量と摂取量を算出しても、計算結果はぴったりと合う事はなく、ある程度の誤差が生じますのであくまでも目安として利用します。また、ある日は激しい試合が続いたり、ある日はオフ日だったりと、その量は日々変化します。それでは、エネルギーバランスは何を指標にしたら良いのでしょうか。最も簡便な指標は体重の変動です。出来れば、体重だけではなく、筋肉量と体脂肪量も併せてモニターする事が望ましいです。インピーダンス法を用いた家庭用の測定機器でもある程度測定できますが、食後や運動後の測定は血流量や水分量の変化の影響を受けるため正確に測定出来ないので避けましょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
日々の食事では、主食(炭水化物の多いもの、ご飯、パン、麺、シリアルなど)、主菜(良質たんぱく質の多いもの、肉、魚介、卵、大豆・大豆製品)、副菜(野菜、海藻、きのこ、いもなどを豊富に含むもの)をそろえ、なるべく牛乳・乳製品と果物を加えましょう。食物アレルギーや乳糖不耐症で牛乳が飲めない人は成分の近い食材でおきかえると良いでしょう。1日3食を基本とし、不足しがちなものは間食(補食)で補いましょう。
筋肉の増量を考えている人は、プロテイン飲料に頼りがちです。基本となる主食、主菜、副菜と牛乳・乳製品、果物は、しっかりとれていますか?1日3回の食事に加えてプロテインや補食の利用は効果が期待できますが、食事をおろそかにしてプロテインだけ、というのでは効果は期待できません。食事をとらないと、エネルギー不足となり、プロテイン飲料がエネルギー源として利用されてしまいます。また、プロテイン飲料は飲みやすくするために砂糖が使用されています。運動選手にとって、砂糖類は速やかなエネルギー源として重要ですが、運動をあまりしない日に飲むと、糖分で食欲が満たされてしまい、食事がとれなくなる事がありますので、注意しましょう。
増量を目指す選手のコーチや監督は、食トレと称してジュニア選手にたくさん食べることを強要する事があります。食欲は、運動量に応じて上がってきますので、無理にたくさん食べることはお勧めできません。食事は、リラックスして会話を楽しみながら食べられるようにしましょう。また、一度にたくさん食べられない場合は、食事と食事の間に補食をとるようにすると良いでしょう。増量も減量も、急激に実施すると体調を崩しますので、試合のスケジュールに合わせて計画的に実施しましょう。
出典:厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」