学童期・思春期

現在の課題:学童期・思春期の肥満

子どもの肥満は、将来の肥満や生活習慣病に結びつきやすいとの報告があります。

学童期では学年が上がると肥満傾向児の割合が増加する傾向にあります。男子では8歳以降、肥満傾向児の割合が10%を超えている状況です。

肥満傾向児割合

*肥満傾向児割合(学童期)

*肥満傾向児割合(思春期)

出典:令和4年度学校保健統計調査 を加工して作成

現在の課題:思春期のやせ

思春期の不健康やせが懸念されています

思春期は、身長の成長速度が最大になり、性成熟、骨形成が促進します。
栄養不足による不健康やせは、妊娠出産への影響や骨粗鬆症のリスクなど、将来的な健康に深刻な影響を与える可能性があります。

* 成長曲線を一定の基準以上に外れるような急激なやせ方

不健康やせは増加傾向

近年思春期女子における不健康やせの発生頻度は高まっています。

*不健康やせの発生頻度(女子)
出典:平成 25 年度厚生労働科学研究「「健やか親子21」最終評価・課題分析及び次期国民健康運動の推進に関する研究 を加工して作成
思春期に特に必要なカルシウムは不足傾向

骨量がもっとも増加するのは、思春期(男子:13~16歳 女子:11歳~14歳)とされています。生涯、健康でいるためにも思春期のカルシウム摂取は重要ですが、現状は不足状況にあります。

*カルシウム摂取の推奨量を100とした場合の摂取量の平均値の割合

出典:推奨量 日本人の食事摂取基準(2020年版)
   平均値 平成28年国民健康・栄養調査 を加工して作成

現在の課題:思春期に増える朝食の欠食率

思春期になると、朝食を食べなくなる欠食率が高くなります。

思春期は正しい生活習慣を自発的に形成することが重要な時期です。朝食をしっかり摂ることは、エネルギー補給や便秘解消等の健康のために重要な生活習慣ですが、15~19歳では特に朝食の欠食率が高くなっています。朝食の欠食は栄養不足だけでなく、肥満や循環器疾患、2型糖尿病などの発生率に関与している可能性が報告されています。

*朝食欠食率

朝食欠食率は15~19歳の男子に特に多く、10%が朝に何も食べていない状況です。

出典:令和元年国民健康・栄養調査を加工して作成

*朝食内容

15~19歳の男子では朝食をとっていても、菓子・果物などのみで済ませる場合も多い状況です。

なりたい姿:現在をいきいきと、将来健康な生活を送る

大人に近づく時期だからこそ、栄養と食生活の両方を大切にしましょう。

思春期は一生涯で最も多くのエネルギーや栄養素が必要な時期です。成長と将来の健康のために過不足なく摂取しましょう。また、自発的に健康的な生活習慣を心がけることも重要です。

必要なエネルギーや栄養素を過不足なく

*学童期・思春期に特に必要と考えられる栄養素

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版) を加工して作成
正しい生活習慣を確立しましょう

特に思春期はエネルギーや栄養素を過不足なく摂取するだけでなく、生涯健康に過ごすための生活習慣を自発的に行うことが重要な時期です。『早寝』『早起き』『朝ごはん』を心がけて過ごしましょう。

*朝ごはんのポイント

まずは食べる習慣をつけることが最も大切です。脳のエネルギー源となる糖質を多く含む主食だけでも食べることから始めましょう。

補給したい栄養素(思春期12~14歳)

男女共に摂取の推奨量と比較して不足している割合が大きく、男子はカルシウム、女子は鉄の不足割合が大きくなっています。

*12~14歳 男子(1日当たり)

*12~14歳 女子(1日当たり)

※ エネルギーの摂取量は身体活動レベルⅡ(普通)の場合の推定エネルギー必要量を記載
※ 食物繊維の推奨量は目標量を記載
※ 女子の鉄の推奨量は月経ありの場合とした
出典:平均値 平成28年国民健康・栄養調査
   推奨量 日本人の食事摂取基準(2020年版) を加工して作成

補給したい栄養素(思春期15~17歳)

男女共に摂取の推奨量と比較して不足している割合が大きく、特に女子はエネルギー、栄養素共に摂取の推奨量の80%未満となっています。

*15~17歳 男子(1日当たり)

*15~17歳 女子(1日当たり)

※ エネルギーの摂取量は身体活動レベルⅡ(普通)の場合の推定エネルギー必要量を記載
※ 食物繊維の推奨量は目標量を記載
※ 女子の鉄の推奨量は月経ありの場合とした
出典:平均値 平成28年国民健康・栄養調査
   推奨量 日本人の食事摂取基準(2020年版) を加工して作成

補給したい食材

食物繊維

水に溶ける「水溶性食物繊維」水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられます。「水溶性食物繊維」では血糖値の上昇を抑える効果が、「不溶性食物繊維」では便のカサを増やす効果などがあります。

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)
   小山祐子 他 サービングサイズ栄養素量100-食品成分順位表第2版(2017年)第一出版 を加工して作成
カルシウム

骨や歯の形成に関わり、体内に多く含まれているミネラル。乳製品、豆類、小魚などに多く含まれます。緑黄色野菜にも含まれていますが、食物繊維やシュウ酸が吸収を阻害するため注意が必要です。

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)
   小山祐子 他 サービングサイズ栄養素量100-食品成分順位表第2版(2017年)第一出版 を加工して作成

赤血球をつくるヘモグロビンの構成成分で酸素の運搬に必須。畜肉や魚肉に含まれるヘム鉄とそれ以外の非ヘム鉄があります。ヘム鉄は赤身の肉やあさり、非ヘム鉄は小松菜や大豆製品に多く含まれます。

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)
   小山祐子 他 サービングサイズ栄養素量100-食品成分順位表第2版(2017年)第一出版 を加工して作成