受講のきっかけ

我が校の学校教育目標「夢をもち、自ら学び、心豊かにたくましく生きる櫛浜っ子の育成」の冒頭に夢を持つことの大切さを謳っており、夢について話し合う為末大学食育学部の授業を児童たちにとって非常に良い機会だと思っておりました。卒業を控えた6年生と一緒に、夢について考える時間を作れたらと思っています。また、昨年から食育に力を注いでいるところですので、夢、食、運動と我が校にとって大事なテーマが揃っているこの講義はぜひお願いしたいと思っておりました。(校長談)


周南市立櫛浜小学校 河村 康男 校長

今日は本物のスポーツ選手を間近で見るということが、こんなにも子どもたちの目を輝かせるのかということをつくづく感じました。子どもたちがプロのアスリートの方と直接触れ合うのはこれが初めてでしたので、為末先生がちょっとスキップしただけでも、みんながハッとしてしまう。やはり本物を見せるというのは大事なんだな、と実感しましたね。

体育の授業でハードルをやる時は、やはり「こけたら怖い」と苦手意識の強い子も多く消極的なんですが、今日はみんないつもと全く違っていましたね。どんどん積極的に取り組んでいて、ハードルが倒れても倒れてもくじけず前に向かっていて驚きました。5年生が参加できたことも嬉しかったですね。5年生は見学のみということになっていたのですが、もしかしたら…と思って体操着で行ったので、本当に参加できることになって子どもたちが大喜びでした。

食育に関しては我が校も全力で取り組んでいるところです。といいますのも、給食センターで給食を出している小学校8校のうち、我が校が最も残食が多い学校になってしまったのです。そこで昨年から学校、保護者、地域を挙げて食育を進めようという動きになり、今は上から2番目に残食が少ない学校にすることができました。残食もほぼなくなってきたので、そういう中での食育の授業は子どもたちにとっても保護者のみなさんにとっても、これまでのまとめとして、とてもよい刺激になったんじゃないでしょうか。

そして夢の授業では、子どもたちは夢を通して何をしたいのか、夢をかなえるために今自分が何をすればいいのか、という発想自体がなかったと思いますので、とてもいい勉強になったんじゃないでしょうか。夢のストーリーを書けない子もいましたが、2学期では子どもたちが地域の職場で社会見学をするので、さまざまな職業に触れることで今日書けなかったシートの空欄を埋めていけたらと思います。そして1人ひとりが夢というよりは志を持って、これからの人生を過ごしてもらいたいなと思っています。


6年2組担任 山本 誠一郎 先生

やはり何かを達成してきたプロの方に教えてもらうと、子どもたちの顔が全然違うなというのが率直な感想ですね。子どもたちは為末先生の現役時代を知りませんが、事前にレースの動画を見せたり資料を読ませたりしたので、少しずつ気持ちが高まっていたようです。先生が軽く飛んだり走ったり、ちょっとしたことでウワーっと歓声が上がって、反応がとてもよかったですね。

食育については栄養が大事だということは漠然とわかっていても、具体的にどうするかまではわかっていなかったと思うので、ゲームを通して3食きちんと食べることの大切さがわかって意識も変わるんじゃないかなと思います。特に、ポテトチップス1袋食べるとこのくらい動かないといけないとか、食べ物と運動の関係については考えたこともなかったと思うので、みんな感動したんじゃないでしょうか。

夢の授業では夢のストーリーを考えることもそうですが、ストーリーを紙に書いて人に伝えるということが、子どもたちのこれからにとってすごくプラスになったんじゃないかと思います。子どもたちが夢について語るというのは4年生の時に「1/2成人式」でやって以来ですが、「お父さんの仕事を継ぎたい」という子もいたり、そんなことを考えていたのかと意外な夢が多くて新鮮でした。

6年生は卒業まであと少しですが、1人ひとりがたくさんの思い出を持って巣立っていってほしいと願っています。今日の授業も10年後20年後に同窓会を開いた時「あんな授業があったな」と思い出話ができたり、あの時書いた夢と今の夢は変わってるな、あの時の夢を実現できているな、というような会話を生徒とできたらいいなと思います。そのためにも今日の体験を他の活動につなげて、卒業へ向けみんなの気持ちを高めていきたいと考えています。


為末先生の感想

今日はすごく元気な子が多かったですね。ハードルの授業でも積極的でしたし、とてもよい雰囲気だったと思います。特にチャレンジングな男の子が多かった印象ですね。夢の授業でも海が近いこともあってか釣り好きの子がいたり、個性的な夢が多くて面白かったですね。

代々この地域に住んで家業をしておられるご家庭が多いと聞きましたが、子どもたちも自分のお父さんやお母さん、身近で関係しているところから将来なりたいものをイメージしている気がしました。「ブルーインパルスに入りたい」と発表していた子といろいろ話してみたのですが、どうもその子はパイロットになりたいというよりも、乗り物に乗ってどこか遠いところ、知らない場所に行ってみたいという思いがあるようでした。たまたま今まで出会った経験の中で、ブルーインパルスがあてはまった感じなのだと思います。

今後さまざまな経験をすることで、子どもたちの夢もどんどん変わっていくでしょうね。でも小学生で興味のあることは生涯残っていくと思いますから、子どもたちの夢の奥にある思いを、話をしながらできるだけ引き出していけたらと思っています。


こばた先生の感想

食育の授業で絵あわせゲームをしましたが、授業が始まる前に「スパゲッティは何になりますか」と事前に質問しにきた子がいたり、とても熱心なお子さんが多かったですね。ゲームでも1回目は洋食と和食のメニューが混ざっているチームもありましたが、2回目ではちゃんと洋食は洋食、和食は和食でメニューを揃えていました。コツをちょっと覚えれば適切な選択ができる子どもたちだなという印象を受けました。

「食べたら動く」ということについても、大好きなアイスを1個食べたらかけっこを23分走らなきゃいけない、ということを理解してもらえた点がよかったですね。お菓子やジュースを食べちゃいけないのではなく、食べた分しっかり動くということを子どもたち同士が伝えあえたのではないかなと思います。飲み物にお砂糖がたくさん入っていることも、実際にスティックシューガーを入れることで理解してもらえたと思います。みんな興味があったんですね。ものすごい人だかりになっていました(笑)。

夢については子どもたちの話をいろいろ聞きましたが、「夢はあるけどストーリーを考えられない」という子がいました。でも「じゃあ15歳の時にどうしていたらいいと思う?」というように、具体的な投げかけをすると、みんな自分で考えられるようになっていました。思いはちゃんとあるので、考えるきっかけを大人たちが作ってあげるようにするとよいのかもしれません。