ニップンの研究開発 / 研究成果レポート / オリーブ

超高齢社会におけるロコモティブシンドローム

日本人の平均寿命は延び続けており、世界に先がけて、超高齢社会を迎えています。
一方、自立して元気に過ごせる期間「健康寿命」と平均寿命の差「日常生活に制限のある期間」が長いことが問題となっています。QOLの向上、医療費の削減等の観点からも、今後は健康寿命を延ばすことが大切とされています。

グラフ:アマニの成分組成


高齢者が健常な状態から要介護へ移行する中間の段階を「フレイル(虚弱状態)」といい、この段階では、適切な支援により健常な状態に戻ることができます。


※厚生労働省の食事摂取基準2020年は「フレイル予防」も視野に策定されています。


図:フレイル

フレイルには3要素(身体的、精神的、社会的フレイル)があります。
身体的フレイルには、ロコモティブシンドローム(ロコモ)が含まれ、このうち、筋肉筋力の低下は、サルコペニアと呼ばれます。

フレイル3要素

筋肉量は一般に40歳前後から徐々に減少し、加齢に伴い加速していきます。
筋肉が減ると関節に負担がかかり運動量も減少、食欲が低下し低栄養状態になると、さらに筋肉がやせてしまいます。この「フレイルの悪循環」の入り口となる筋肉の減少を予防することは、 健康寿命の延伸、豊かなシニアライフの実現に重要であると考えられています。

図:フレイルの悪循環

オリーブ果実に秘められた力

昔から地中海沿岸に住む人々は長寿で、虚血性心疾患などの心臓病やメタボリックシンドロームなど、生活習慣病とされる疾病の発症率が低いことがわかっており、その理由が地中海式食事法にあるのではないかと推測されています。地中海式食事法はオリーブをふんだんに使うことから、オリーブに含まれる抗炎症成分が地中海の人々の健康に良い影響を与えているとも考えられています。

研究マスリン_ピラミッド図

オリーブにはオレイン酸やビタミンEなどの健康成分が含まれている他、微量成分としてポリフェノールやトリテルペン類のマスリン酸などが含まれています。このうちマスリン酸には高い抗炎症・鎮痛効果が報告されており、関節炎予防・ロコモ対応成分として期待されています。
私たち”ニップン”は、健康寿命と関連があると言われる地中海式食事法の代表、「オリーブ果実」に着目し、希少成分であるマスリン酸の関節や筋肉への効能の研究を続けてきました。10年に渡り、積み重ねてきた研究成果を、一部ご紹介します。
【注目!】
オリーブ果実マスリン酸の研究取組が、科学雑誌Nature誌のSpotlightセクションに掲載されました!

関節炎予防効果

(1)関節痛軽減のメカニズム

図:関節痛軽減のメカニズム

(2)ヒト臨床試験

オリーブ果実マスリン酸摂取がひざ関節痛に及ぼす影響を調査するため、ひざに悩みを抱える高齢者を対象とした試験を行いました。
<試験概要>
コホート予備調査 愛媛県忽那(くつな)諸島
対象者  : 高齢者29名、平均年齢70.7歳
デザイン : 1群による前後比較
摂取期間 : 16週間摂取
試験食  : オリーブ果実マスリン酸300 mg(マスリン酸30 mg)
評価項目 : 膝関節の痛み(VAS)、 JKOM、QOLスコア(SF-8)など
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸を摂取することで、摂取前に比べてひざ関節機能の評価指標(JKOMスコア)に有意な改善が見られました。また、生活の質(QOL)の指標(SF-8)、膝の痛み(VASスコア)にも改善傾向が見られました。

ヒト臨床試験

筋力向上効果、筋肥大効果

(1)筋肥大のメカニズム

図:筋肥大のメカニズム

マスリン酸は、①筋肉組織のもととなる細胞の分化促進、②筋肉を構成するタンパク質の合成促進にアプローチし、筋肉量の増加や、筋力の向上に寄与すると考えられます。


(2)ヒト臨床試験①

オリーブ果実マスリン酸摂取が筋肉に及ぼす影響を調査するため、高齢者を対象にヒト試験を行いました。
<試験概要>
対象者  : 高齢者36名、平均年齢73.1歳
デザイン : プラセボ対照無作為化二重盲検群間比較試験
群分け  : 運動のみ群19名、運動+オリーブ果実マスリン酸群17名
摂取期間 : 12週間摂取
試験食  : オリーブ果実マスリン酸600 mg(マスリン酸60 mg)
評価項目 : 骨格筋量、握力など
運動介入 : 週1回90分の運動
 ・ウォームアップ(30分)
 ・レジスタンストレーニング(40分)
 ・クールダウン(20分)
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸摂取と週1回の筋力トレーニングを併用することで、プラセボ(偽薬)群と比較して、筋力(握力)と筋肉量が有意に向上しました。

筋肉量

本研究は,総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム 研究課題番号14533567)
「次世代農林水産業創造技術」(農研機構生研センター委託研究)によって実施されました。



(3)ヒト臨床試験②

オリーブ果実マスリン酸摂取が筋力に及ぼす影響を調査するため、高齢者を対象としたヒト試験を行いました。
<試験概要>
対象者  : 高齢女性26名、平均年齢70.3歳
デザイン : プラセボ対照無作為化二重盲検群間比較試験
群分け  : 運動のみ群15名、運動+オリーブ果実マスリン酸群11名
摂取期間 : 20週間摂取
試験食  : オリーブ果実マスリン酸500 mg(マスリン酸50mg)
評価項目 : 下肢筋力(BIODEX)、ひざ関節機能(JOA)など
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸摂取と週2回の筋力トレーニング(全身振動トレーニング)を併用することで、プラセボ(偽薬)群と比較して、(※1)KL grade≧3の被験者において、下肢筋力やひざ関節機能に有意な改善が認められました。
(※1) KL grade(Kellgren&Lawrence分類): 変形性膝関節症のX線重症度分類。数字が大きいほど重症。

下肢筋力

その他の効果

コンディショニング

オリーブ果実マスリン酸が、トレーニング後の疲労回復や、パフォーマンスに与える効果を調査するため、大学女子バスケットボール選手を対象とした試験を行いました。
<試験概要>
対象者  : 大学女子バスケットボール選手
デザイン : 非盲検化群内比較試験
摂取期間 : 1週間の継続摂取(未摂取期1週間)
用法容量 : マスリン酸 60 mg/日
評価項目 : VAS

下肢筋力

<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸を摂取することで、未摂取時に比べ、トレーニングによる疲労感や痛みが軽減し、練習パフォーマンスが向上しました。
これにより、トレーニング時のコンディショニングにも効果を期待できることが示されました。

丈夫なカラダと健康維持に貢献

健康成分を多く含むと言われるエクストラバージンオリーブオイル。しかし、希少成分マスリン酸は、オリーブ果実を搾るだけでは抽出されず、オリーブオイルにはほとんど含まれません。食卓を彩るテーブルオリーブならマスリン酸を摂取できますが、一日に十何粒も摂取するのは大変。オリーブ果実マスリン酸は、マスリン酸をぎゅっと凝縮し、手軽に食べられるようにとの想いを込めて作りました。オリーブを中心とした食生活の継続が、きっと皆さんを健康なカラダへと導いてくれます。

健康維持に貢献


コラム1 取り入れやすいオリーブ果実マスリン酸

1. 熱への安定性、pHの安定性に優れています。
加熱殺菌や加熱調理、製造中にpH変化がある場合にもご利用いただけます。

安定性試験

2. 食品のおいしさそのままに・・・
オリーブ果実エキスはくせのない味。
サプリメントだけでなく、グミ、キャンディーをはじめ、プロテインや一般食品まで、幅広い食品にお使いいただけます。


コラム2 関連サービス情報 HPLC定量分析

HPLC定量分析

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