第7回 食と水泳教室
小樽市立高島小学校

全国のスイマーに出張授業を行う「ニップン 食と水泳教室」。
第7回は、2025年に小樽水泳協会の創立とニップン小樽工場の竣工がともに100周年を迎えることを受け、小樽市立高島小学校を会場に、小樽水泳協会スイミングクラブおよび協会登録団体の6チームから7歳~17歳までの42名が参加しました。

小樽市立高島小学校での水泳教室

「食と水泳教室」は子どもたちの健やかな成長のために、食育×水泳にフォーカスし開催している水泳教室です。

ゲスト講師TEACHER

渡部 香生子(わたなべ かなこ)さん

渡部 香生子(わたなべ かなこ)さん

病弱だった身体を強くするために4歳から水泳を始める。個人メドレーや背泳ぎを専門としていたが中学1年の秋に肩を故障したことから平泳ぎに転向し、翌年2010年の全国中学で中学新記録を出し優勝。2012年15歳でロンドン五輪に出場を果たす。そこから順調に記録を伸ばし2015年世界水泳では200m平泳ぎで優勝し、リオデジャネイロ五輪に内定した。リオデジャネイロ五輪出場後から記録が低迷し、代表落ちなどと挫折も経験した。挫折を乗り越え東京五輪に出場できたが、思うような結果ではなかった為、パリ五輪でのリベンジを目指していたが出場は叶わなかった。パリ五輪選考会を最後に現役引退し、現在は株式会社名岐不動産広報部に所属。スイムクリニックや講演活動を中心に自身の経験を伝え、水泳界の発展を目指し活動している。

佐藤 翔馬(さとう しょうま)さん

佐藤 翔馬(さとう しょうま)さん(所属:セイコーグループ株式会社)

初めて全国JO杯に出場したのは、中学1年時の夏季大会。中学3年時の全国中学では、100m平泳ぎ4位、同200m 5位を記録。高校3年時には、ジュニアパンパシフィック選手権代表に選出された。大学1年時には、世界ジュニア選手権に出場し200m平泳ぎで銀メダルを獲得。2021年には200m平泳ぎの日本新記録を樹立、東京五輪代表にも選出された。日本の男子平泳ぎを牽引していく選手として、世界のトップレベルでの活躍が期待されている。

食育の時間FOODS

渡部さんと佐藤さんが小学生から高校生の参加者に向けて、食事と身体づくりについての重要なポイントを話しました。ニップンからは、スポーツを頑張る参加者におすすめの食事のとり方やタンパク質と炭水化物をしっかり摂取できるスパゲッティやマカロニを使った"パワーアップレシピ"を紹介しました。

食育の時間

成長期の身体を育む食の工夫

イベント冒頭、「食べることは好きですか?」の問いかけに、会場からはたくさんの挙手と元気な「はい!」の声が上がりました。渡部さんは、子どもの頃は食が細く、ホウレンソウやニンジンなど色の濃い野菜が苦手だったと振り返ります。しかし、中学生の頃に味付けを工夫することで、少しずついろいろな食べ物が食べられるようになったそうです。
一方の佐藤さんは、好き嫌いはなかったものの「食べること自体が面倒」だと感じていた時期があったとのこと。そんな中でも、お母さんに勧められてしっかり食べるようにした結果、ご両親の身長を超えるまで成長できたと話しました。お母さんが栄養バランスを意識した食事を作ってくれていたことも、大きな支えになったそうです。

食事管理を自分で意識し始めた時期

佐藤さんは高校生になって友達と学食などで食べる機会が増えた頃から、油ものを控えるなどの工夫を始めたといいます。渡部さんは中学3年生の遠征の際に自分で食事を選ぶようになったことをきっかけに、油ものを控えつつ炭水化物をしっかり摂ることを意識するようになりました。今、渡部さんは“食べること全般が好き”で、休みの日に人気店に並ぶことがある一方、アスリート時代と同じ量を食べるとカロリーオーバーになるため量には注意しているそうです。
一方、現役選手の佐藤さんは食事回数を1日4回に分け、十分なエネルギーを確保。会場の中には寝坊で朝食を抜く子もいましたが、佐藤さんは「朝ごはんは絶対に食べた方がいいです」と熱く語っていました。

甘いものとの向き合い方

渡部さんが「どうしても甘いものが欲しいときは、脂質の少ない和菓子を選ぶ」など、内容を選んで楽しむ工夫を紹介しました。飲み物でも、甘さが欲しいときは果物ジュースを選ぶようにしていたそうです。無理に我慢しすぎず、バランスを取りながら付き合う姿勢が印象的でした。

トレーニング前後の食事

佐藤さんは「筋肉のためにタンパク質と炭水化物をしっかり、そして野菜でバランスを整える」ことを意識しているそうです。参加者に、タンパク質と炭水化物はどんな食品に含まれるかを尋ねると、「マグロ!肉!」「米!うどん!」と元気な声が返ってきました。
渡部さんは、練習前にエネルギー源となる炭水化物を意識的に摂り、練習後に消費したエネルギーを素早く補給。飲み物はスポーツドリンクなどカロリーのあるものを活用しつつ、砂糖の多い炭酸飲料は控えるなど、細かな工夫も共有されました。

試合の前日は勝負飯!

試合前日の食事について、佐藤さんは「良くないと分かりつつも、気持ちの切り替えとしてウナギを食べることが多い」と苦笑い。好きなものを適度に取り入れることで心を整えているようです。一方、渡部さんは「勝負飯はあえて決めない」派。遠征先やホテルの食事で脂質が多いメニューもあるため、状況にあわせてバランスよく選ぶことを意識していました。
佐藤さんはオリンピックの際、選手村のピザを試合が終わるまで我慢し、試合前はバランスの良い食事を意識。試合当日の朝はエネルギー源としてお餅を食べることが多く、消化を考えて海苔は付けないようにしているそうです。渡部さんは普段緊張しないタイプですが、オリンピック選考会の朝は食欲が落ちてしまい、それでも身体を動かすためにご飯とみそ汁、卵類をしっかり食べたと振り返りました。
イベントを通じて、参加者のみなさんも明日から実践できるヒントをたくさん持ち帰えりました。

水泳の時間SWIMMING

渡部さん、佐藤さんのお2人もプールに入り、デモンストレーションや平泳ぎの指導を行いました。
中西さんはバタフライ、古賀さんは背泳ぎの指導をしました。

水泳の時間

オリンピアンの飛び込みに驚きの声!

渡部さんの「迫力のある泳ぎを水中でしっかり見ていてください」という声のあと、佐藤さんがプールに飛び込み平泳ぎのデモンストレーションを実施しました。ダイナミックな飛び込みに対する参加者の「うぉっ!」という声の後、佐藤さんが泳ぎ終わると参加者は手を頭の上に大きな拍手。泳ぎ終わった佐藤さんが「さっきの泳ぎにするまでの工程を教えます!」と水泳の指導がスタート!

まっすぐな"けのび"の姿勢

続いては渡部さんによるけのびのデモンストレーション。まっすぐな姿勢ですっと進む様子を、参加者は水中にもぐって真剣に観察していました。お手本を見た後は、参加者がけのびの練習。渡部さんと佐藤さんから直接、手の位置やあごの角度をチェックしてもらい、短時間のうちにぐっと成長していました。

今日のことを思い出して楽しく練習してください!

最後には、佐藤さんから「今日、楽しかったひと?」との問いかけに元気に全員挙手!渡部さんから、「今日教えたポイントを意識して普段の練習に取り組みましょう。食事も練習と同じくらい大切なので、これから気にしてみてください」とお声がけがありました。最後は参加者からの元気な「ありがとうございました」で締めくくりました。

集合写真