玄界灘に面した佐賀県・唐津市は、古くから中国大陸への玄関口として栄えた交通の要衝。海原を眼下に臨む唐津城や、日本三大松原の1つとされる虹の松原、 華やかな曳山が城下町を練り歩く唐津くんちなど、歴史と伝統に彩られた人気観光地としても知られています。2年目を迎えた爲末大学食育学部、最初の授業が行われたのは 「やればできる!チャレンジ浜っ子」を合言葉に子ども達の育成に力を注いでいる唐津市立浜崎小学校。九州では初の開催です。



浜崎小は相撲部や野球部の強豪校として知られ、子ども達は日頃から運動に親しんでいるといいます。相撲場が併設された校庭では、授業に参加する小学6年生の子ども達が念入りにウォーミングアップ。 「為末先生はオリンピックに3回出て、世界選手権で2度メダルを獲ったすばらしい方です。どんな学習ができるか私も楽しみです。元気な声で先生を呼びましょう」という岸本嘉彦校長先生の呼びかけで、 「為末先生!」と全員一斉の大コール。変わりやすい秋の曇り空を吹き飛ばすように、笑顔の為末先生が校庭に登場しました。


ハードルを跳ぶために  -目標設定への道筋-

「今日はみんなと一緒にハードルの授業をやります。元気にやっていきましょう!」という為末先生のかけ声で、まずはジョギングからスタートです。 次に全員で円を作って、爲末大学食育学部恒例の楽しいウォーミングアップ体操。2人組になってジャンプしながらの足ジャンケンや、背中におんぶされた人がおんぶした人の上半身をぐるっとまわるなど、 ゲーム感覚の体操にみんな楽しそう。最初は少しぎこちなかった子ども達の顔にも、笑顔がこぼれます。

さすが運動が盛んな浜崎小の子ども達、ここまでは難なくクリア。ところが為末先生から「右手で三角、左手で四角を描いてみて。次は右手で三角、左手で丸を描くよ!」と新たな課題が出されると、 「あれ?」「わからん!」と大混乱。「右手と左手を自由に動かすための頭の体操だよ。誰が一番うまくできたと思う?」と為末先生が呼びかけると、「校長先生!」と子ども達。 その声を受けて校長先生がお手本としてみんなの前で体操を披露して。「校長先生が上手にできていなかったと思う人、手を挙げて!」と為末先生が聞くと、多数が手を挙げてみんな大笑い。

最後はみんなで手をつないで1つの輪を作り、為末先生の号令に合わせて前に飛んだり、横に飛んだり。子ども達の体も心も十分に温まったところで、ハードルの授業に突入です。

障害物をどううまく跳び越えたらいい? -目標達成のポイント-

1年目の爲末大学食育学部では「体を動かす楽しさ、ハードルを越える喜びを体験してもらう」ことに重点を置き、かけっこ半分、ハードル半分という時間配分だった体育の授業。 2年目となる今回は「ハードルをしっかり跳べるように教えたい」という為末先生の狙いから、ハードルの時間が多めに取られることになりました。 校庭に用意された7つのハードルレーンは2段階の高さに設定され、「何も考えなくてもいいよ、好きなところを跳んでみて!」と、為末先生はまず子ども達に自由に跳ぶよう促しました。 すると子ども達は全てのレーンにまんべんなく並び、戸惑うことなくハードルを跳び越えていきます。勢いよく跳んでいく姿に「おお、すごい。いいよ、どんどん行け! もっと上に跳んでみて!」 と為末先生が声をかけると、子ども達も為末先生とハイタッチを交わすなど、すっかりうち解けた様子。

しばらくすると、為末先生は「今度はハードルを跳ぶ時に、犬がおしっこするみたいに足を90度、真横に上げて跳んでみよう」とアドバイス。 最初はなかなかうまくいかず、ハードルを倒してしまう子もいましたが、アドバイスを意識しながら練習を重ねるうちに子ども達のフォームが変わっていくのがわかりました。

ここで中央レーンのハードルを1段階上げ、ハードルの高さは3段階に。いつもならここでストップするところですが、「もっと高いの、跳びたい?」と為末先生。 「跳びたい!」「いや、いい!」と正反対の声が子ども達から上がる中、さらに1段階上げられ、全部で4つの高さのハードルが並べられました。

最も高いハードルは高さ85cm。見たこともない高さに一瞬驚いた子ども達ですが、果敢にチャレンジする子が続出。 見事に飛び越えていく子ども達を見て、為末先生も「すごいな!」とビックリしていました。さらに「足の裏を見せて、思いっきり前にキック! その状態で跳んでみよう」とアドバイスを重ねました。

自分でハードルの高さを選んで超えていく -目標設定-

異なる高さのハードルを前にして、低いハードルから少しずつ高いものにスライドしていく子もいれば、最初から一番高いハードルにチャレンジする子など、さまざまなパターンが見られました。 自分で選び、自分なりに工夫してハードルを越えていく子ども達に、「いつもは途中であきらめてしまうのに…」と浜崎小の先生たちも驚きを隠せません。 中には見違えるほど跳び方が変わった子や、「楽しい!」と叫びながら高いハードルを越えていく子もいて、目標をクリアする喜びを体感した子どもは多かったようです。

そんな思い切りのいい子ども達に刺激されて? 終盤では為末先生がみんなと一緒にハードル競争する場面も。ハンデとして子ども達のずっと後ろからスタートした為末先生でしたが、 全員をごぼう抜きしてトップでゴールすると、子ども達からドッと歓声が上がりました。

最後はエキシビションタイム。ハードルを一番高い高さに上げ、為末先生がみんなの前で本気の走りを見せると、あまりのスピードに子どもも先生も「オー!!」と大興奮。 子ども達からアンコールの声が上がると、今度は子どもの1人をハードルがわりとして前屈みに立たせ、背中スレスレの高さで跳んでみせる為末先生の勇姿に、再び大きな歓声が上がりました。

まとめ  -目標達成はできたか-

後まで元気いっぱいの子ども達に満足気な為末先生は「今日はみんながハードルをうまく跳んでいて、とても嬉しかったです。 今日覚えたことを活かして、これからもハードルを跳んでみてください」とコメント。最後にみんなで記念撮影をして、1時間目の授業が終了しました。



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