爲末大学食育学部2016年度のラストを飾るのは、千葉県千葉市にある高洲第三小学校です。小学校のある美浜区高洲エリアは、東京湾の埋め立てによって整備された海浜ニュータウンの中心地。JR稲毛海岸駅にほど近く、図書館をはじめとする公共施設や大型商業施設など充実した環境が整い、大半の児童が近隣の団地や高層マンションから通学しています。

授業前日は冷たい雨が降りましたが、当日には天気も落ち着き予定通りグラウンドで授業をスタートしました。今回は5年生が授業に参加。高洲第三小学校では今日の授業をとても楽しみにしてくれていたようで、「為末大さん、こばたさん、ようこそ高洲三小へ」と書かれた手作りの横断幕やイラスト入りのうちわを振りながらの大歓迎! 「今日はみんなの心と体、これからの成長のために3時間お勉強をしていただきます」と瀧澤和夫校長のお話を聞いた後、「為末先生ー!」と大きな声で為末先生の登場を待ちました。
1時間目の体育の時間は走り方やハードル走を学びながら、目標を実現する達成感を体験してもらう授業です。颯爽と校庭に現れた為末先生が「今日はみんなと一緒にハードルと食育、それから夢の授業をします。1日楽しくやっていきましょう。まずはハードルの授業でみんなにはオリンピックのハードルを跳んでもらいます!」とあいさつすると、児童たちは「ええー?」と驚きながらもワクワクしている様子。授業がはじまる前から走り回るなど元気いっぱいの児童たちが、為末先生と一緒にグラウンドへ駆け出していきました。

ハードルを跳ぶために  -目標設定への道筋-

まずは、楽しい体操の時間です。その場でジャンプをしたり、2人1組になって手を交互に伸ばしながらグーパーするなど軽めのウォーミングアップ。 2人組になって右側の人がドラえもん、左側の人がドラミちゃんという設定で、為末先生に「ドラえもん!」と呼ばれたほうが相手の手をつかむ、 というゲームをすると「やられた!」「いえーい!」とあちこちから元気な声があがります。

続いて、背中におんぶされた人が、おんぶしている人から落ちないように上半身をぐるりと一周するゲーム。 バランスを崩して地面に足をついたらゲームオーバーです。全身の筋力とバランス能力が問われる難易度の高いゲームですが、 どうにかクリアしようとみんな必死! 落ちないように相手の腰にくらいつく児童や、「できたできた!」とはしゃぐコンビなど、 大変な盛り上がりになりました。

障害物をどううまく跳び越えたらいい? -目標達成のポイント-

体が温まったところで、ハードルの練習に移ります。高さの違う4段階のハードルを前に、まずはスタートの練習から。 「何のためにスタートダッシュをするのか知っていますか?」と為末先生が問いかけると「勢いよくするため」「カメラの注目を浴びるため」 と児童たちから声が上がりましたが、
「スタートダッシュで早く出るために大事なことは、地面を強くけることよりも、前に転ぶように出るということなんです。 転ぶ寸前の形で飛び出すように前に出るんですね。スタート地点でかまえた姿勢でいると、それだけで0.1秒くらい出遅れてしまって 、順位が1つ変わってしまうんだね。スタートで出遅れないためには、前足に90%くらい体重をかけて、体を小さくするんだ。 ちょうど猫がネズミを見てとびかかるようなイメージでやってみよう」

ひとしきりスタートダッシュの練習をしたら、今度は1つめのハードルを跳んだら2つめはくぐる、という交互の運動。 「えームリだよー!」という声があがりながらも、みんな果敢にチャレンジ! 転んでしまったり、ハードルにひっかかる子もいましたが、 それでも雨でしめった校庭をどろんこになりながら駆け抜けていきました。

自分でハードルの高さを選んで超えていく -目標設定-

何度か走りこんだところで、いよいよハードルのレッスンです。為末先生は「好きな高さを跳んでいいよ!」と呼びかけ、 まず児童たちには自由にハードルを跳んでもらいました。「最初は何も考えなくていいから、高く跳んでみよう!」と為末先生の声を受けて、 それぞれに好きなレーンを選んで跳び始める児童たち。

我先にと列に並んで勢い良く跳び続ける児童たちの様子を見て、為末先生はハードル間隔を狭くしたレーンを用意しました。 「ここはハードルとハードルの間を3歩で跳んでみよう!」と児童たちに声をかけると、さっそくチャレンジ精神旺盛な児童が集結。 はじめは3歩でなかなか跳べずに苦労する子や、ハードルを倒してしまう子も出るなど、慣れない歩幅に悪戦苦闘していました。

しばらく練習してハードルに慣れてくると、為末先生からハードルを上手に跳ぶコツが説明されました。 「犬のおしっこを見たことある? あんな風に足をあげて跳んでみよう。ハードルの上に障子や壁があると思って、 壁をけ破るようなイメージで跳んでみて!」とアドバイス。さっそく試してみるものの、思うように足が出ない児童たちに 「それじゃけ破れないよ! もっと勢いよく出してみて!」「かっとんで、かっとんで!」と為末先生から声がかかります。

すると、少しずつ児童たちのジャンプに勢いが出てきました。「いいねえ」とうれしそうな為末先生、 今度は「ハードルの上に火の輪があると想像してみて。火の輪は熱いよね、暑くないようにくぐり抜けるにはどうすればいい?  ぎゅっと体を小さく折りたたむんだね。やってみよう!」と児童たちの背中を押します。

為末先生の指導に即座に反応する高洲三小の児童たち。姿勢を気にするとハードルにひっかかったり、 ハードルを跳ぼうとするとフォームが崩れたり、勢いよく跳んで転んだり。 それでもおそれることなくハードルに向かって元気に走り出すみんなに為末先生は「いいね、いけいけ!」と声援を送ります。 そうして回を重ねるごとに、児童たちのハードルを跳ぶ姿勢が整っていくのがわかりました。

児童たちの勢いに押されて、お楽しみのデモンストレーションタイムへ。今回は為末先生と高洲三小の先生7人が一斉にハードルを 跳ぶというレーススタイル。「がんばれー!」と児童たちの大歓声に包まれて、先生たちも果敢にチャレンジしていきました。 さらにハードルをオリンピックの高さまで上げられ、3人の児童がみんなの代表として果敢にチャレンジ。見たこともない高さに驚きながらも、 なんと全員が無事クリア! 全員から盛大な拍手がわきました。

まとめ  -目標達成はできたか-

1人1人が自分なりの目標をクリアしながら、段階をふんでハードルのフォームを覚えていった今回の授業。 児童たちの旺盛なチャレンジ精神と上達スピードの速さに、為末先生も驚いた様子でした。 「今日は今までの学校の中で一番ハードルがうまい学校だったと思います。 これからも一生懸命ハードルの練習をがんばってください」と為末先生があいさつし、みんなで仲良く記念写真を撮って1時間目の授業は終了となりました。

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