世界の小麦粉料理 第21回

カルロヴィ・ヴァリ(ドイツ語でカールス・バート)はチェコ最大というだけでなくヨーロッパの中でもトップクラスの規模を誇る高級温泉リゾート地。渓谷の中のその町の景観は目が覚めるほど美しいともいわれる。国際映画祭なども開かれ、人々を飽きさせない。

中欧(中東欧ともいう)の国チェコ。第1次世界大戦後の1933年オーストリア・ハンガリー帝国が崩壊し、隣同士でありながら民族も言語も違うチェコとスロバキアが組んで、チェコスロバキアとして独立しました。
話し合いを重ね1992年に、チェコとスロバキアは平和的に分離し、現在に至っています。
チェコの面積は北海道とほぼ同じ広さです。
海のないチェコの国境はすべて他国の国土と接しています。北はポーランド、東はスロバキア、南はオーストリア、西はドイツといった国々です。

チェコの伝統的な食事の基本は、スープとパンです。
スープは肉などを少し濃い目の味付けにした煮込み(シチュー)料理が好まれ、これに必ず入ってくるのが肉まんの皮のようなフワフワとした食感の蒸しパン、クネードリキです。クネードリキは、ほのかな甘みはありますが味自体は薄味なので、付けあわせとしてスープにたっぷりと浸して食べます。
また、ジャムをつけるなど、お菓子やデザートとしても食べられています。

寒暖の差が激しく、夏は短いものの四季がはっきりとしている気候は、麦栽培に適していて、小麦のほかにも、黒麦、ビールのホップなどが多く採れます。
特にビールは、ドイツと並ぶビール王国といっても過言でないくらい人気も歴史もあります。(ビールを目当てに来るドイツ人観光客も多数いるそうです。)

チェコは海のない国なので普段は魚をほとんど食べません。しかし、クリスマスイブから年末にかけては多くの家庭で鯉(コイ)料理を食べるといいます。
チェコには鯉を養殖する人工池がたくさんあります。
鯉の出荷は12月半ば過ぎと決められていて、期間限定の鯉料理は、日本のおせち料理と同じような慣習のようです。
鯉はフライやスープにしたり、オーブンで焼いたりして食べます。

チェコには多くの温泉町があります。19世紀に上流階級により保養や治療、社交の場としてつくりあげられました。長期滞在型のホテルは「サナトリウム」と呼ばれていました。
温泉を訪れた著名人は、バッハ、ゲーテ、ベートーベン、ショパン、シューマン、ブラームス、カフカ・・・数え上げればきりがないほどの人々が訪れています。
温泉(スパ)は今でも、チェコの観光の目玉で、リーズナブルな値段で楽しむことができるそうです。
ちなみにベートーベンが滞在したサナトリウムは現在「クーアハウス ベートーベン」という名前のホテルになっているそうです。

チェコの首都プラハは文化の香りが漂う美しい町並みです。
18世紀後半の建物を数多く残すこの町をロケ地として、映画「アマデウス」や「ミッション・インポッシブル」が制作されました。「アマデウス」では18世紀後半のウィーンという設定をCGなしで苦もなく作り出すことができたそうです。

チェコの女性はほとんどフルタイムで働いています。両親共働きでも、チェコの人々の家族の絆はとても強いといいます。
チェコの家庭の多くは、週末は都会の人も郊外で過ごします。庶民でも多くは、セカンドハウスを持っているのです。
絆を強める秘訣は、家庭菜園を楽しんだり、バーベキューをしたり、山登りをする、週末や長期休暇の家族団らんにあるようです。

出典

  • 「チェコとスロバキアを知るための56章」明石書店
  • 「世界の衣食住 ヨーロッパの食べ物」小峰書店
  • 「図説 チェコとスロバキア」河出書房新社
  • 「チェコ歴史散歩」日経BP企画
  • 「プラハ歴史散歩」日経BP企画

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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