世界の小麦粉料理 第20回

ルイジアナ州最大の都市ニューオリンズにあるアメリカ合衆国に属する前のフランス植民地時代の建築が残る地区フレンチクオーター。

1500~1700年代にかけ、スペイン、フランス、イギリス等ヨーロッパの国々から多くの人が北アメリカにやってきました。
1492年コロンブスがアメリカ大陸を発見、スペインは南米大陸を植民地化していきます。
フランスの人々は1500年代に入ってから北アメリカに移住し始めました。カナダを中心に、狩猟を行い大量の毛皮を手に入れ、川や湖をうまく利用して毛皮製品の貿易を行いました。彼らは更にミシシッピ川を下り、川沿いに新しい定住地を作りました。これが現在のミシシッピ州やルイジアナ州などアメリカ南部と呼ばれる地域です。
1600年代になると、メイフラワー号に代表されるイギリス人の入植が始まります。彼らは、1700年代に入ると東海岸を中心に植民地化し13の州をつくりました。

同床異夢のイギリス人とフランス人、地域の棲み分けはできましたがアメリカ合衆国として独立したあとも、北部と南部の関係はうまくいっていませんでした。
北部は、商工業や小規模な自営農業が中心で、黒人の奴隷制度には否定的でした。
一方、温暖な気候の南部は綿花やたばこの大農場が作られ、その働き手としてアフリカから連れてこられた多くの黒人がいました。
1861年にはこの奴隷制度の是非を発端に、アメリカ唯一の内戦「南北戦争」が起こっています。

アメリカは人種のるつぼといわれますが、南部はまさにそうでした。
フランス、スペイン、ドイツ、オランダといったヨーロッパの国々からの移民、先住民のネイティブアメリカン、奴隷として連れてこられたアフリカの黒人、さらにカナダから流れてきたフランス系住民や革命から逃れてきた西インド諸島の人々など、これらの人々が交じり合い独自の文化を形成しました。
その代表的なものが音楽と食文化です。
音楽でいえばゴスペル、ジャズ、ブルース、カントリーミュージック、そしてこれらを融合して生まれたのがエルヴィス・プレスリーであり、ロックン・ロールといわれています。

食文化も南部料理(Southern Food)と呼ばれるこの地ならではの独特な料理が多数作られています。
テキサス、カロライナ、テネシーでは、バーベキューが有名。
ミシシッピやルイジアナではジャンバラヤやガンボなどのケイジャン料理、クレオール料理が有名です。
ケイジャン料理、クレオール料理とは、ルイジアナスワンプ(沼地)やメキシコ湾で捕れる魚介と、温暖な気候で育つ豆や野菜、穀物をふんだんに取り入れた料理のことで普段家庭で食べるのがケイジャン料理、エレガントな社交の場で出されるのがクレオール料理です。

ホットビスケットはおかあさんが家庭で焼くパンケーキで南部の伝統的な朝食です。
スコーンのような形状ですが、油気がなくあっさりしていて、同じく手作りの即席ソーセージと併せて焼きたてをさっくり口に入れると、いくつでも食べられるような味わいです。
一日の始まり、南部の暖かい家庭の象徴―それがホットビスケットです。

出典

  • 「世界の食文化 アメリカ」農文協
  • 「アメリカのおいしい食卓」平凡社
  • 「世界の料理」ポプラ社
  • 「クックブックに見るアメリカ食の謎」東京創元社
  • 「誰でもわかるアメリカの歴史」 http://www.ohsaka.com/history/vol1.htm

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。
現在「Witch's Kitchen」主宰
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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