世界の小麦粉料理 第15回

日本で大人気のインテリアを始め、かわいい色合いの雑貨やお皿、テキスタイル(織物や布地、そのデザインパターン)、大好きなテイストがいっぱいの北欧。
食べ物は一体どんなものが食べられているのでしょうか。

北欧はノルウェー海、バルト海、ボスニア湾など海に面した国々で、鮭やマス、ニシン、タラなどの沢山の魚が獲れ、また、内陸部では酪農を主な産業とするところが多く、牛乳や乳製品などを多く生産し、輸出している国々です。
冬が長い北欧では、保存食が多いのも特徴のひとつ。肉や魚は塩漬けにしたり、マリネや燻製に加工して保存します。パンも日持ちのする硬焼きパン、穴の開いたクラッカーのような“クネッケブロート”がポピュラーです。北に行くほどじゃが芋栽培が盛んで、主食にもなっています。もちろんパンも主食。小麦粉のパンも食べられますが、ライ麦で作った、小麦よりも少し酸味の強い黒いライ麦パンがよく食べられているようです。
パンで真っ先に思い浮かぶのはオープンサンド。薄いライ麦パンやクネッケブロートに、レバーパテやニシンの酢漬け、サーモンマリネやエビなどをのせた様々な具材のバリエーションがあります。
その他、日本でもお馴染みのデニッシュペストリー。クレープのような薄焼きのものもあります。これは、小麦粉とライ麦粉の生地を薄く焼き、バターと砂糖をぬって四つ折にした“レフサ”と言うパンで、ノルウェーでは特に祝祭日に食べられるパンです。
スウェーデンでは、同じようなクレープ状のパンで“ミュークトゥンブロード”があり、トナカイ肉の燻製や、キャビアなどを巻いたラップロールのようなパンもあります。
 日本ではサンドイッチやオープンサンドは、手でつまんで(持って)食べますが、デンマークでは、オープンサンドはナイフとフォークを使って一口ずつ器用に切って食べるのだそうです。イタリアでは本来ピッツァもナイフとフォークで食べるものです。箸文化の日本では、ナイフとフォークが上手く使えないので、オープンサンドもピッツァも手で食べるようになったのかしら?

大皿に盛りつけた様々なお料理をテーブルいっぱいに並べ、食べたいものを自分で小皿に取って頂く“バイキング料理”はもちろん北欧が発祥の地。但し“バイキング料理”は日本人の造語で、北欧では“スモーガスボード”と言います。
昭和32年に、北欧を視察した帝国ホテルの犬丸徹三氏が、コペンハーゲンのレストランで、スモーガスボードの食べ放題に興味を抱き、帰国後取り入れたところ、日本でも広まったと言われていて、今ではお料理のみならず、ケーキなどのデザートもバイキング形式を取り入れているホテルやレストランも増え、家族連れや女性たちにも人気のスタイルですね。
 好きなものを自由に、と言っても、本来のスモーガスボードには食べる順番にセオリーがあるそうです。最初は冷たいニシン料理。そして冷たい肉料理→サラダ→温かい料理→デザートで〆の順番だそうです。旅行などで頂く機会がある場合は覚えておくと良いかもしれませんね。

北欧と言うと、雑貨やインテリア以外にも私の興味を抱くものがあります。
“白夜”と“オーロラ”。どちらも是非観てみたいです。スカンジナビア半島では初夏から2ケ月ほど、白夜の季節が続きます。太陽は横に動き、一晩中陽が沈みません。南の地方でも3~4時間しか太陽が沈まないそう、この時期訪れる観光客は、不眠症に陥ることが多いとか。
また日本でも有名な“ムーミン”はフィンランドのナーンタリという町に「ムーミンワールド」があり、夏の間だけ開園しています。冬の間は、ムーミン達は冬眠するので、お休みなのだそうです。何ともロマンチック!
“オーロラ”はいくつかの国で観測できますが、世界で最も北にある国のひとつ、フィンランドは、国土の1/3が北極圏にあり、空に輝く光の帯のオーロラが観測できます。TVで観るオーロラは緑や赤に輝く何とも幻想的な景色ですが、実際に見た知人の話によると、「グレーだった!」とか。その日の天候や場所によっても見え方は違うのかもしれません。
オーロラ・・・いつか観に行きたいな~。

さて、食の話に戻りますが、今回ご紹介するお料理は、北欧で最もポピュラーな“クネッケブロート”です。ライ麦粉と小麦粉を合わせたクラッカーのような薄いパン。スウェーデン語で「パリパリとしたパン」という意味だそうです。食事にも、またチーズやサーモンなどの具をのせてオープンサンドにし、おやつやおつまみにしても食べられます。
湿度の低い北欧では、輪投げ台のようなものに通して食卓の片隅におかれている保存食のようなものですが、湿度の多い日本では、すぐに湿気ってしまいます。焼きたてか、食べるときにトースターなどで焼きなおしてから頂くことをおすすめします。
 もうひとつは“クラースープ・メ・ボーラ”。ユトランド半島の南部でよく食べられるスープです。北欧は冬が長いため、栄養満点で温かいスープは何よりのご馳走です。日本にある食材でもすぐに作れるのがうれしいですね。小麦粉で作るフラワーボールは、シュー生地のような作り方ですが、味わいは西洋のすいとん?のよう。きっと癖になる食感です。大好きな北欧テイストのテーブルクロスに鍋、食器に囲まれながら頂きます!


参考文献
・世界の地元メシ(東京地図出版)
・世界の料理いただきまーす。(アリス館)
・北欧のキッチンでおぼえたイースト菓子とパンの本(白馬出版)
・世界の味探究事典(東京堂出版)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

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