世界の小麦粉料理 第14回

世界最大の熱帯林やアマゾン川など大きな川に恵まれる南米。
南米で最大の国、ブラジルは南米大陸のほぼ半分の面積を占め、その広さは日本の23倍!世界で5番目に大きい国です。南米全体の面積でいえば日本のおよそ50倍という広さです。
南米は日本を始め世界各国からたくさんの人が移住しました。
一口に南米の料理と言っても、移民の多いこの大陸では、特徴も様々。移民達がもたらした料理、各土地で収穫できる特産物を主に各国特徴のある料理が生まれました。

日本の食卓でも欠かせないじゃが芋は南米原産です。コロンブスに発見されたじゃが芋はスペインに伝えられ、世界に広まりました。コーヒー豆やバナナ、とうもろこし、玉ねぎなどの故郷も南米です。はるか昔は、じゃが芋やとうもろこしを主食としていましたが、現在では南米のほとんどの国の主食は米です。

パンの原料の小麦は1500年代スペイン人により栽培法が伝えられました。今のペルー、インカの末えいインディオ達はアンデスの高地で昔からアルパカなどを飼い、じゃが芋、とうもろこし、トマトなどを栽培してきましたが、スペインから伝わった小麦の栽培はインディオの村でも定着しました。
当初希少品で、かつ高級品であった小麦は、南米の国々の多くで税として納められ、庶民の口に入ることはありませんでした。もっとも今ではどこでも気軽に美味しいパンが食べられています。
南米のパンというと、まず最初にブラジルの“ポンデゲージョ”を思い浮かべましたが、これは小麦粉ではなくキャッサバという芋から摂れるでんぷん粉(タピオカ粉)が主な原材料で、もちもちとした食感が日本人の口にも良く合い、日本でも人気が出ました。

2016年のオリンピック開催国でもあるリオデジャネイロはブラジルの南東部にあります。ここでの食事の定番メニューは“フェジョアーダ”という黒いんげん豆の煮込み。日本の定食のように白いご飯と青菜の炒め物、炒ったキャッサバの粉、オレンジが添えられます。
フェジョアーダは元々、奴隷達が主人の残した豚の耳や皮などと豆を一緒に煮込んだのが始まりですが、今ではブラジルを代表する国民食です。
白いご飯と言っても、日本の白米の炊き方とはちょっと違って、塩を入れて炊いたり、油で炒めてから炊くというように味付きのご飯です。

南米と言うとブラジルコーヒーに代表されるようにコーヒーの生産国として有名ですが、“マテ茶”という健康茶も一般的です。マテ茶はカフェインを多く含み、食欲を抑制し、質素な食事でも長時間の労働を可能にすると言われ、大草原の牧童達にとってはうってつけの飲み物でした。元々はパラグアイの先住民の飲み物でしたが、今では南米諸国に市場が広まっている飲み物です。脳と心臓の働きを活性化させる作用があるとも言われています。おもしろいのはその飲み方で、マテと呼ばれるひょうたん形の小さな壷に茶葉を入れて熱湯を注ぎ、ボンビージャと言う銀製のストローを使って吸いながら飲みます。熱いお茶をストローで飲むと言うのも驚きですが、居合わせた仲間の間で一組の壷とボンビージャを回し飲みするというのも日本ではあまり考えられない飲み方です。回し飲みは仲間の絆を深め、社交性を高める役割を果たすのだそうです。

さて、南米では元々、小麦は高級品であったと先に書きましたが、今では美味しい小麦のパンも日常楽しめ、小麦粉を使った一般的な家庭料理が数々あります。
今回は、ブラジル料理をふたつご紹介します。ひとつは“パンケッカ”。パンケーキと同じようなものですが、2枚位重ねてバターやシロップをかけて食べる、というものではなく、筒状に丸めたものを並べて、トマトソースやミートソースをかけて食べるのが一般的で、ブラジルのお母さんの味だそうです。チーズ風味でほんのり甘いパンケーキにミートソースというのも意外な組み合わせのようですが、とても美味しいメニューです。

また、パーティー好きのブラジル人は、休日には友達や親戚が集まってよくパーティーをするそうです。パーティーでの定番料理は、串に刺してお肉を焼くシェラスコという焼肉料理。シェラスコ料理のお店は日本でも沢山ありますね。
そして、サルジーニョという揚げ物料理。その中のひとつが“パステル”。今回ご紹介するもうひとつのレシピです。こちらは揚げ餃子のようなもの。
どちらも我々日本人の口にも合うお料理だと思いますので、今回もまた是非お試しを!


参考文献
・ブラジルのごはん(農文協)
・世界の食文化(農文協)
・異国のメシーる(たけだみりこ著)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

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