世界の小麦粉料理 第13回

情熱の国と呼ばれるスペイン。
彩り鮮やか、魚介たっぷりのパエリア。情念のこもったフラメンコのダンス。
原色の赤と黄色の国旗。これはキリストの血と黄金を表し、またメラメラと燃え上がる炎や太陽を表すとも言われているそうです。うーん、情熱的!
ピカソやガウディを生み出したこの国はまた芸術大国ともいわれています。
私のまわりにもスペインにはまる知人は多く、彼女達は、決まってくるくるとしたきつめのパーマをかけ、目鼻立ちもくっきりメークで、まさにスペイン風?の女性になっていきます。・・それはさておき、スペインのお料理についてたどっていきたいと思います。

“パエリア”は日本でも誰もが知る有名なスペイン料理。ある都内の小学校では、給食の人気メニューとなっています。最近ではコンビニ弁当にも登場しています。
パエリアはバレンシア地方の郷土料理で、バレンシアには365種類の米料理(一年間毎日違う米料理!)があると言われているくらい米料理のバリエーションは豊富です。
パエリアなどの米料理は日本で言う、“おかず”というとらえ方になっています。お米は野菜や豆などと同じ扱いで生み出されたお料理なのです。語源はパエリアを炊く大皿のようでもありフライパンのようでもある浅いお鍋“パエジャ(鍋)”からきたといわれています。
米がおかずなら、では主食は?スペインの主食は小麦です。バケットやクロワッサンをはじめ、各地方様々なパンがあるようです。

スペイン料理には、残り物の固くなったパンを上手に利用したメニューもたくさんあります。日本で最も有名なのは“ガスパチョ”でしょうか。
単純にトマトやきゅうり、セロリなどの野菜をミキサーにかけた冷たい野菜のスープと思っている方も多いのですが、ガスパチョというのは「びしょびしょにぬれた(湿った)パン」という意味のイスラム語です。固くなったパンをおろし金でおろしたり、ちぎって野菜と一緒にミキサーにかけて野菜の水分やオリーブ油を吸わせた「食べるスープ」、「サラダスープ」とも言われるお料理です。
また、にんにくたっぷりのパンで、どろっととろみがついた“スープ・デ・アホ”や野菜と一緒にパンを炒めた炒飯のパン版“ミガス”など、カチカチの残ったパンをとても上手に美味しいお料理に変身させたものがたくさんあるのも特徴です。

昨今、日本でも人気の“ピンチョス”や“タパス”もスペインからきたものです。どちらもバール(喫茶店兼居酒屋さん)で出されるおつまみです。ピンチョはいわゆる無料で添えられるつきだしのようなもの。元々は突き刺すという意味のピンチャールという名詞からきたもので、串や楊子を指します。タパは小皿のおつまみ。(それぞれ複数形になると語尾にスがつきピンチョス、タパスとなる)
タパスにはアジア料理を取りいれたものも数多くあるようです。今月のレシピのひとつはすぐに真似できるタパス料理をご紹介します。“ブニュエロ”というフリッターです。つぶしたじゃが芋を加えるともちっとしたがんもどきのような食感に。スペインでは干しダラを使うことが多いようですが、ブニュエロは生タラでもできます。おつまみにもおかずにもなる1品です。たこやイカなどでも楽しめます。

次は“フィディア”です。見た目はパエリアそっくりですが、お米ではなくパスタで作ります。スペインでもパスタはよく食べられます。作り方はほとんどお米のパエリアと同じですが、細くカールしたマカロニ(フィディア)で作ります。しかし、日本では手に入りにくい食材なので、ここでは細めのパスタで代用します。2~3cmの長さにポキポキと折ってスープに加えます。アルデンテは気にせずに、しっかりとうまみのあるスープを吸わせて茹で上げるのがスペイン流。お米よりもスルッと口当たりも良く、癖になる味わいです。
フィディアもスペインでは大衆食堂で気軽に食べられる人気メニューです。
是非お試しあれ。

参考文献
・スペイン熱い食卓(文化出版局)
・世界の味探求事典(東京堂出版)
・異国のメシーる(㈱メディアファクトリー)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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