世界の小麦粉料理 第11回

ドイツ料理は美味しいものが無い?一昔前はこんな話が聞かれました。
でも、ちょっと気にしてスーパーを覗いてみると、ワインやビール、チーズ、ソーセージ、ベーコン、アイスバイン、瓶詰めのザワークラウト、ライ麦パン、プレッツェルなどなどこんなにも沢山のドイツ食品が店頭に並んでいるのか、と驚きます。

「ドイツ料理といえば何」、と友達に聞いたら間髪いれずに「ビールとソーセージ!」と返ってきました。ボイルしたソーセージに酸っぱいキャベツの付け合せザワークラウトが添えられ、グビグビとドイツビールを飲む、ドイツといえばこうでしょう。
なるほど。お酒の飲めない私は、パンやお菓子が真っ先に思い浮かびます。ぎっしりと重たい黒いライ麦パン。そのままではちょっと酸味が強いのですが、野菜やチーズ、ハムなどをのせてサンドイッチにしたらとても美味しい!くるみやドライフルーツの入ったものも大好きです。
クリスマスに食べるシュトーレンや木の年輪をかたどったバウムクーヘン、これらも日本ではお馴染みのお菓子になっています。

ライ麦は小麦粉のようなグルテンが出にくいため、焼いてもあまり膨らまず、ずっしりと重たい黒パンになります。
ドイツの気候風土は小麦栽培にはあまり向いていないようですが、世界有数の製粉技術があり、小麦粉とライ麦粉を巧みに使い分け様々なパンを作り出しています。
ライ麦パンは、小麦粉の配合によって呼び名が変わります。小麦粉が多いほどソフトな焼き上がりになります。
ライ麦と小麦が半々のものが“ミッシュブロート”。小麦の方が多い時には、“ロッケンミッシュブロート”、粗挽きタイプのライ麦のパンは“シュロットブロート”と呼ばれます。

ライ麦パン独特の少し酸味のある香りは、予め作っておいたパン生地(おこし種、サワー種ともいう)を加えることによって生まれます。
今回ご紹介するライ麦パンはサワー種の代わりにヨーグルトを、また小麦粉の配合を多くしてあるタイプなので、ご家庭でもチャレンジし易いライ麦パンです。パン作りにご興味のある方は是非挑戦してみてください。焼きたては外がカリッと香ばしく、中はしっとりソフトで食べ易い配合としています。

ドイツは山岳地帯が多くて冬が厳しく、地味が痩せていて、作物があまり実らないため、保存性を高めるために、発酵や燻製などを活かした料理が発展したと言われています。
ドイツ料理でよく使われるじゃが芋も保存が効きますし、塩やスパイスのように保存性を高める調味料や香辛料を上手に利用したソーセージやザワークラウトなどもそうですね。
ソーセージの語源はラテン語の「Salsisium」(塩をする)からきています。
ザワークラウトは日本語の表記になると酢漬けのキャベツとなっていますが、いわゆる日本の酢のものやピクルスなどとは違い、塩漬けしたものを数日おき、発酵させて酸味をだす発酵食品で、野沢菜や高菜漬けのようなお漬けもの感覚の食べものです。

貴重な食料となる豚肉も保存食として余すことなく利用されます。
まず、豚は血抜きされ、その血は「ブルートウルスト」と言われる血のソーセージの材料として使われます。肝臓や腎臓、胃袋などの内臓もソーセージの材料に、腸もソーセージの種を詰めるのに利用されているのは皆さんもご存知の通りですね。足首はフライに、すね肉はアイスバインと言って、昔スケート靴を買えない農民たちがすね肉の骨を靴に縛って滑ったことから名がつきました。輸入食材が多く並ぶスーパーなどで売られていますので、気になった方はチェックしてみてください。じゃが芋などのごろごろ野菜やザワークラウトと一緒に煮込んでポトフなどによく使います。腿肉は生ハムやボイルハムに、煮込み料理やオーブン料理にも家庭でも良く使われている部位。バラ肉(三枚肉)はベーコンに。肩肉や首の部分はフランクフルトに・・・などなど。豚一頭をとってみても、保存のバリエーションは豊富です。

手に入り易い固まりのベーコンやフランクフルト、じゃが芋やかぶなどの野菜を煮込んで粒マスタードをつけ、ライ麦パンと一緒に食べれば、お手軽にドイツ気分を味わえます。まだまだ寒い日本の2月、週末には是非身体の温まる煮込み料理でプチドイツ旅行気分を味わってみてください。

参考文献
・世界の味探求事典・岡田哲(東京堂出版)
・世界焼きたてパン物語・竹野豊子(東京書籍)
・新・ドイツの森の料理人・野田浩資(里文出版)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

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