世界の小麦粉料理 第9回

中国料理は世界三大料理のうちの一つです。(ちなみにあとはフランス料理とトルコ料理。)
中国料理(中華)は日本の食卓でもおなじみなものがたくさんあります。麻婆豆腐やエビチリに棒棒鶏、チンジャオロースーなど。お手軽に作れる中華調味料の加工品もスーパーにずらりと並び、まるで日本の日常食かと思うほどのレパートリーぶりです。
男女問わず味が親しみやすく、白いご飯にも良く合うので、日本の食卓に登場回数が増えるのは納得です。

中国は日本と同じ箸文化圏であり、麺も元々中国から伝わりました。日本の食のルーツも中国の影響をかなり受けています。
テーブルセッティングの際、箸は横でなくて縦置きされるのが一般的。大皿料理を直箸で取るので、日本で言う取り箸のように長く、先端は細く削られていません。慣れていないとちょっと食べにくいかもしれません。

ご存知の通り中国はかなり広大な国。中国料理は一口に“中華”と言われていますが、北京、上海、四川、広東の四つの地域の代表料理が“四大料理”と言われ、細かく分類すると、その他の地方を合わせて、もっと沢山の系統に分けられるといいます。

北京料理は宮廷料理の元となった山東料理や山西料理などが融合してできた料理。最もポピュラーなのはやっぱり“北京ダック”でしょうか。
北京料理屋では、アメ色に香ばしく焼かれた鴨肉が丸ごとテーブルに提供されます。
パリパリと焼かれた皮を薄く削ってテンメンジャンと細切りのねぎやきゅうりと一緒に薄焼きクレープのような“薄餅”で巻いて食べます。
胸肉は肉厚に削ぎ切りにされ、これもとてもおいしいです。
随分前に上海にて北京ダックが有名なお店で食べた時に、まだお肉が残っている内にワゴンごと下げられ、もったいないなぁ、などと思っていたら、残ったお肉をミンチにして、ザーサイと一緒に炒めて再びテーブルへ出してくれました。これをレタスに巻いて食べると美味しい!最後まで飽きのこない何とも贅沢で満足な料理だったことを覚えています。
薄餅で食べることでも解かるように、北京は小麦粉の産地。小麦粉を用いた料理が多いのも特徴のひとつ。最近は日本でも有名になった麺の固まり(生地)を肩の上にのせ、薄くて大きいスケッパーのような包丁で削りながら大きな鍋に投入して茹でる“刀削麺”など、手打ち麺の種類も豊富。今回のレシピでも手打ち麺をご紹介しています。初めはちょっと難しいかもしれませんが、自分で打って作るもちもちの麺はとても美味しいものです。

上海料理は揚州、蘇州などを含む東に位置する温暖な気候に恵まれた穀倉地帯。海や川にも近いので、魚料理も沢山あります。有名なものといえば、小籠包や紹興酒に鎮江の酢、また上海がには日本でも秋になると食べたくなる、という方も多いのでは。
上海旅行の際に小籠包のお店にも行ってみました。中から出てくるスープをこぼさないようにと、火傷覚悟で大口を開けて一口でがぶりと食べホーホーいっていると、現地の人は皆、皮の端をちょっとかじってチューチューとスープをすすっています。そう!まず美味しいスープを飲んでから、酢をつけて千切りの生姜と一緒に食べるのだそうです。どのテーブルでも前かがみで小籠包をチューチューしている姿はちょっとおかしかったのですが、きっとのけぞってホーホーいっていた私たちはもっと面白がられていたのでしょう。

四川料理は米作や野菜などの実り豊かな西の土地で栄えた料理。高温多湿であることから食欲増進作用のある花椒(中国の山椒)や唐辛子といった辛いスパイスを使った料理が定着したといわれています。おなじみは“麻婆豆腐”。日本の感覚で言うと豆板醤などの唐辛子で辛く味付けされた料理のイメージかもしれませんが、本場のものは何と言っても花椒がよくきいています。料理名の麻(マー)は舌をしびれさせる辛さを表す花椒を指します。
今回、手打ち麺と合わせてレシピをご紹介した“坦坦麺”も四川料理のひとつ。日本ではごまたっぷりの辛めのスープに挽肉がのったラーメン感覚の食べ物のイメージでしょうが、元々は天秤棒を担って売り歩いていた屋台的な食べ物でした。ですから汁は無く、ラー油たっぷりの辛味ダレで和えて食べる汁無しの麺料理なのです。

最後に南の広東料理。日本人の味覚に最も良く合い、ふかひれの姿煮などが有名です。
「飲茶」と言われる種類豊富な点心の中から好きなものを選び、中国茶と一緒に食べるスタイルは、広東料理の特徴です。
中華まんにふかひれ餃子、えび入り蒸し餃子・・・などなど、迷うほどに種類が沢山あります。

どの料理をとっても、どれも身近に感じる料理ばかり。“中華”は日本の食卓にも欠かせないメニューのひとつです。


参考文献
・人気のチャイニーズ(世界文化者)
・テーブルマナーの基本(プラザ出版)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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