世界の小麦粉料理 第6回

中学生の時以来、アフリカ大陸の地図をじっくりと見ているのですが、広いですよね、世界の陸地の23%を占めるんだそうです。そして国名も正直半分ぐらいは初めて目にしました。

アフリカと一口に言っても、これだけ大きい大陸なので、食文化をひとまとめに記述することはできません。今回は日本にいながらにしても食べられる料理を紹介しようと思います。

ピタパン

ピタパンは結構日本でもメジャーなパン。中がポケット状(空洞)になっていて、具をはさんだりして、サンドイッチのようにして食べられます。
ピタはヘブライ語でアラブ人のパンという意味。元々は中近東の円型の白い平焼きパンのことを言います。円形状の平らなパンのことを総称で“アラビアパン”とガイドブックにはよく紹介されていますが、国によって呼び方が違い、材料や焼き方も少しずつ違うようです。 モロッコではこのアラビアパンを“ホブス”と言い、主食としてよく食べます。 多くの家庭では、自宅でパン生地を作ります。ここまでだと、日本のお母さんがご飯を炊くのと同じように思いますが、おもしろいのが、このパン生地は家で焼かずに、生のまま専用のパン焼き釜のお店にもって行き、焼いてもらうのだそうです。
日本のパン屋さんだと、焼いたものを売っていますが、焼くだけ!の専門店があるというのには驚きです。中は大きな焼き釜と、沢山のお盆の上には焼いたパン、これから焼かれるパン生地がずらりと並んでいます。“パン焼き屋さん”は、毎日のことだけに、お盆を見るだけでどこの家のパン生地か判るのだそうです。

エチオピアでは、同じく平たい円形状のパン“インジェラ”を主食としていますが、これは“テフ”という雑穀の粉を原料としたものです。
エチオピアでは結婚話が持ち上がると、その女性の作ったインジェラがお見合い写真代わりになり、男性側が試食し、合格となってから始めて女性とご対面、結婚話が進むという習慣があるそうです。

今回レシピを紹介した“ケフタタジン”は、モロッコでもよく食べられている料理のひとつ。トマトベースで日本人の味覚にも良く合う料理です。
“タジン鍋”は最近のスチーム料理ブームで一躍有名になりましたが、帽子のようなとんがった円錐状の蓋が特徴。この独特な形は食材から出た水分を循環させる働きがあり、保温性も高く、野菜や肉を柔らかく仕上げます。日本の土鍋のように、このまま食卓へ出してみんなで取り分けて食事を楽しみます。
ケフタタジンにはやはり“ホブス”をスプーン代わりにして頂きます。市販のピタパンをフライパンで油をひかずにさっと焼いて食べるとぐんと雰囲気が出ますよ。

お次は“クスクス”。
モロッコを含む、チュニジアなどの北アフリカの代表的な食べ物です。
かつてフランスの植民地であったこともあり、フランスでも美味しいクスクスを食べられるお店がいくつかあります。最近では日本でも簡単に手に入るようになりましたね。このクスクス、ゴロっとしたお肉や野菜が入ったさらさらのシチュー(スープ)をかけて、まるでカレーライスのように食べますが、原料は何だかご存知ですか?
一般的にはパスタにも使われるセモリナという硬質の小麦を小さな粒状にしたもの。
世界一小さなパスタ、とも言われています。
アフリカは約半分がイスラム教徒なので、豚肉料理はタブー。牛や羊、鶏肉などで作ることがほとんどです。
クミンというスパイスもよく使用します。インド料理にも良く使われるスパイスですが、独特の芳香とほどよいほろ苦さで、これを加えるだけでも、いつものトマト煮込みと一味違ったアフリカン(って勝手に名づけましたが・・・)な気分になれます。是非お試し下さい。

参考文献
・ 異国のメシーる(メディアファクトリー)
・ コムギ粉料理探究事典(東京堂出版)
・ 世界の食文化(農文協)
・ 世界の鍋(情報センター出版局)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

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