世界の小麦粉料理 第3回

十数年前、“イタメシブーム”が日本に旋風を巻き起こしました。かつてはイタリア料理と言うと、“パスタ”や“ピッツア”しか思い浮かばない人がほとんどでした。これは、外国の方が日本料理といえば、“スシ”、“テンプラ”と言うのと同じようなもの、実際イタリア料理はパスタのみならず多種多様で、日本人の味覚にもよく合う料理やデザートが沢山あります。
今では、イタメシは、中華に並び、日本の食事にすっかり浸透している料理となりました。

イタリアの料理法といえばオリーブオイルやトマトがイメージされますが、日本でも、各都道府県によって様々な特徴をもった郷土料理があるように、南北に長いイタリアは各州によって味付けもそれぞれ特徴があり、郷土料理も様々です。
例えば、オリーブオイルやトマトは南の地方で、北部では、隣接するフランスやスイスと同様にバターや生クリームが好まれます。

パスタも地域によって特色があります。
デュラム小麦のような硬質の小麦粉は、気候や風土の関係から主に南の地方で栽培されています。「乾麺」のスパゲッティはマカロニもふくめ、すべてデュラム小麦から作られます。うどんやそうめんとは違う、あの独特な歯ごたえ、いわゆる「アルデンテ」(※歯ごたえのある状態)で楽しめるのは、デュラム小麦の特徴です。
北の地方では軟質小麦が栽培され、生パスタが作られています。強力粉に近い中力粉に卵、塩、オリーブ油を加えて練り上げたものをのばして色々な形のパスタができます。
また、北イタリアでは“ポレンタ”というとうもろこしの粉を、たっぷりの熱湯やミルクの中に入れてかき混ぜながら糊状にする食べ物も有名です。そばや豆の粉でも作るようです。お肉のつけ合わせの他、冷めると固まるので、ミートソースと重ねてラザニアにしたり、ケーキにしたり、元々パスタが浸透していたイタリアの食卓にマッチした食べ物だったようです。

イタリアの南部は地中海の真ん中にあり、沢山の移民がやってきました。ギリシャ人、フランス人、アラブ人・・・数々の民族がこの地に来て、料理にも多大な影響を与えました。。
スペイン人はトマトを持ち込み、アラブ人は甘い菓子類を定着させる、現在のイタリア料理のトマトソース、ドルチェ(スィーツ)はこうしてスタイルが確立したのでしょう。
イタメシブームの頃のイタリア料理はなんだかフランス料理と似ていてちょっと敷居が高かったイメージもありました。しかし、やはりイタリアは“マンマの味”が基本で、これに回帰しつつあるようです。これは全く日本でも同じことで、粗食や昔ながらの雑穀、乾物などが見直され、昨今ブームのように扱われがちですが、やはり料理の基本は“おふくろの味”なのです。

今回ご紹介するレシピは、イタリア半島の付け根(北部)にあたるエミリア・ロマーニャ州で定番の料理。州都、ボローニャの名前からボロネーゼというネーミングのソースですが、日本では“ミートソース”として親しまれているものです。
広大な平地を利用して、牛や豚を飼う畜産農家も多いことから、日本でも親しみのあるパルミジャーノ・レッジャーノチーズや生ハムなどの生産も有名です。
ミートソースにおろしたチーズをたっぷりと、相性の良さ納得していただけると思います。
手打ちパスタはパスタマシーンがあれば楽々にのばせますが、手でのばす時は少々力がいります。しっかりと体重をかけて、イタリアの“マンマ”になった気分でのばしましょう。ご家庭にある食材で気軽に楽しめるのもうれしいですね。
是非一度お試し下さい。

参考文献
・イタリア地方料理の探究(柴田書店)
・コムギ粉の食文化史(朝倉書店)
・人気のイタリアン3(世界文化社)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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