世界の小麦粉料理 第2回

私たちの生活で小麦粉がとても身近な食材だということ、また9割近くが輸入でまかなっているということは第1回でふれました。
その三大輸入国とはアメリカが最も多く60%近く、ついでカナダ、オーストラリアの順です。では、これらの国の食を考えてみましょう。

アメリカの食事のイメージと言えば・・・大きくて分厚いステーキやホットドッグ、ハンバーガー、シリアル、そしてコーラ!? アメリカは元々はイギリス料理がベースにあったようなのですが、今はジャンクフードのイメージが強い気がします。(最も、昨今では肥満も深刻に問題視され、日本食のようなバランスの良い食事も注目を浴びているようですが・・・。)

アメリカの食文化の第一の特徴は合理性を大事にすることです。例えばドーナッツミックスやホットケーキミックスなどあらかじめ混ぜ合わせておくミックス粉はアメリカで開発された小麦粉です。卵や牛乳を混ぜるだけで、ふわふわと美味くできあがるので、とっても便利。合理的(手間や時間の短縮)で、何より初心者でも失敗無しが魅力です。

また、移民も多く、色々な国の食文化をアメリカ的に発展させているのも特徴のひとつ。ホットドッグひとつをとっても、ドイツ人の多い地域ではザワークラウトが添えてあり、中西部ではメキシコの食べ物であるチリをかけたものが好まれています。
ピッツァも、日本でもおなじみのチェーン店は実はアメリカからきたもので、作り方はイタリアのピッツァとは別物。アメリカは多種多様な民族の国民食をベースとし、そこからまた独自の生活様式に合わせてアメリカナイズされた今日の食スタイルが生まれたようです。

カナダも移民が多く、地域によって様々な名物料理がありますが、ただアメリカと違って、イタリア系移民はイタリア料理を伝承し、中国系は中華を、というように、他国の料理をベースにそこから発展してオリジナルになった、というようなものは少ないようです。

カナダの小麦粉は硬質のものが多く生産され、世界でも最もパン作りに向いている小麦粉といわれています。そしてカナダと言えば、国旗に描かれた楓・・・メープルシロップ!今回は小麦粉とメープルシロップを使ったカナダの代表的な家庭料理、ダンプリングを作ってみました。
ダンプリングとは“お団子”のことを言います。メープルシロップで有名なケベック州のお料理です。“シロップ漬けのおじいちゃん”という日本語に訳すととてもおもしろいネーミングですが、メープルシロップのスープの中にしわしわのおじいちゃんが浮かんでいる?というイメージからなのでしょうか。
本来は強力粉で作りますが、ご家庭にある薄力粉でも軽い感じのダンプリングが作れます。
日本で言うと“すいとん”のようなものでしょうか。ベーキングパウダーが入るので、まわりはもちもちとしていますが、中はふんわりと蒸しパン(ケーキ)のような感じです。野菜スープの中に入れた甘くないタイプもあるので、2種類お試し下さい。

そして、最後にオーストラリア。食事のイメージと言うとやっぱりお肉のイメージが強いですよね。ビーフ、羊肉、カンガルー・・・。あとは牡蠣、フィッシュ&チップスなども有名。そのようなオーストラリアですが、小麦粉は、そうめんやうどんなどの麺を作るのに向いているタイプのものが主。麺好きの日本人にとっては大事な輸入国ですね。

オーストラリアも長い間イギリス領だったことや、やはり移民が多い国なので、ヨーロッパ系や中近東系、アジア系など、元々は他国の料理が生活に根付き、食べられるようになったというものが多いようです。
その代表格と言えば“ミートパイ”。オーストラリアでは、世界で最もミートパイが食べられています。元々はイギリスのお料理ですが、本家よりもポピュラーになってしまった位ミートパイ好きだそう。
さて、このミートパイ。冷凍パイシートとパスタソースで簡単に手作りできます。
フィーリングがとろりと柔らかいので、すくって取り分けるか、小さいパイ型(ココットでも可)があれば、1人前ずつ小分けに作っても良いかもしれません。マッシュポテトにケチャップをのせてオージー風に仕上げました。海外旅行気分で各国のお料理をご家庭でお楽しみ下さいね。

参考文献 
・粉屋さんが書いた小麦粉の本(三水社)
・世界の食文化オーストラリア・アメリカ(農文協)
・パンと麺と日本人(集英社)

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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