製粉のお話しライブラリー 粉食考古学[1] - 文明の起源

狩猟民だった旧石器時代人の意識改革。それは西南アジアでは1万7000年前頃から起こり始めた。
今まで見向きもしなかった野生植物の種子を主食にしようという発想(決意)だ。そして、小麦である。
洋の東西を問わず神あるいは天からの贈り物とする伝説に包まれた、人類最初の栽培作物の一つ。
小麦の栽培は紀元前1万2000年頃には確かに始まっていた。火の発見は動物からヒトへ、小麦の発見は原始から文明への跳躍台になった。
素晴らしいのは、“小麦は粉で食べる”という知恵の習得。小麦は小麦粉になることで、“食”の限りない可能性をひらく。小麦栽培と製粉の技術はつねに一体であり、紀元前3000年頃にはヨーロッパ全土に伝播していく。

旧約聖書に描かれるイスラエルの遺跡にはナトゥーフ文化(前1万2500年頃~前8000年頃)の遺跡も含まれる。これは狩猟と穀物栽培の両立によって定住を果たした文化で、竪穴住居や貯蔵穴の技術を持っていた。出土品には石製の鎌や皿、杵が見つかっている(ハニヨム洞窟 写真提供:杉本智俊〈慶応義塾大学〉)

パン用小麦は野生種のタルホコムギとエンマコムギの交雑で生まれた(イスラエルに自生するエンマコムギの野生種のディココイデス種 撮影:田中宏)

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