こうして生まれた 小麦粉料理 シンプルだからこそ奥深い 第15回「ロールケーキ」 今回のテーマはロールケーキ 人気のスイーツその歴史を見ていこう

ロールケーキとは、長方形に薄く焼いたスポンジケーキの表面にクリームやジャム等を塗り、渦巻き状に巻いたものです。

ロールケーキ誕生は、16世紀の初め頃だったと思われます。
15世紀の後半からヨーロッパでは、貿易の拡大、植民地獲得などの覇権争いが始まっていました。
はじめに力をつけたのはスペインでした。サンタ・マリア号に乗ったコロンブスが、アメリカ大陸を発見。これを皮切りにメキシコやペルーなど、中南米地域を次々に征服していきます。
ここで目をつけたのが砂糖きびの栽培です。砂糖きびの栽培は南米、西インド諸島にまでひろがりました。
砂糖の普及は製菓技術を飛躍的に向上させました。まず、小麦粉、砂糖、卵を使ったビスケットのお菓子が、次いで、卵を攪拌し窯でふんわり焼きあげるスポンジケーキが生まれました。
スポンジケーキは日本にもすぐに伝わりました。洋菓子第1号です。日本ではカステラと呼ばれ、日本独特のお菓子となっていきました。
ヨーロッパでは、スポンジケーキの誕生を契機に、クリームやジャムを塗るさまざまなケーキが生まれます。中でも簡易に作れるロールケーキは早い時期に生まれたものと思われます。

16世紀頃は、ケーキなどのお菓子はいわゆる食事とは違い、人が生命を維持するのに不可欠なものではないのだから、質素なものでいいという風潮が強い時代でした。そうした中でもヨーロッパ各国で独自のケーキが生まれ、華美なものも作られました。
ケーキには神に捧げるものという役割もあり、祝いの日に、より美しいものを作り供えて、儀式の終わりにみんなで分かち合って食べました。クリスマスケーキの始まりです。

<現在も伝わる伝統的なクリスマスケーキ>

フランス ビッシュ・ド・ノエル
ビッシュとは薪の意味、ロールケーキにチョコレートやコーヒークリームを塗り、薪のように成形します。暖炉につどってクリスマスを祝うというイメージでしょうか。
19世紀の終わりごろに生まれました。

ドイツ シュトーレン
シュトーレンは「棒」という意味を持つ細長い形の発酵焼き菓子です。表面は砂糖がまぶされ雪のように白く覆われています。14世紀の後半に生まれたお菓子です。

イギリス クリスマスプディング
名前の通りプリンではなく、パウンドケーキに近いケーキです。
七つの海を制覇したと豪語していたイギリスには、世界中からさまざまな香辛料やフルーツが入ってきました。これらをふんだんに使ってぜいたくに仕上げました。

明治になり、日本にも洋菓子が入ってきます。最初に注目を浴びたのがビスケットでした。その後カフェなど洋菓子を扱う店や、洋菓子店ができ、ロールケーキも並んでいたのですが、いつしかほとんど見られなくなりました。
それが近年の大ブレーク、しかもロールケーキブームは一過性のものとは思えません。勢いはさらに増しているようです。
○○ロールケーキと呼ばれるご当地ものは全国にあり、味や食感などそれぞれ特色を競い合っています。ほんのわずかな違いでも人気が分かれるようです。
渦なしのロールケーキはいまや常識、三角や四角のロールケーキも生まれています。
基本はシンプルなお菓子が、いろいろな角度から創意工夫が凝らされ、多くの人を魅了しています。


出典及び参考文献

  • 「ロールケーキの時間」日本文芸社
  • 「世界の味探求事典」東京堂出版
  • 「洋菓子はじめて物語」平凡社新書
  • 「フランス 食の事典」白水社
  • 「名前が語るお菓子の歴史」白水社

キャラメルナッツのロールケーキ

キャラメルナッツのロールケーキ

【材料】1本分
(23cm×27cm天板1枚)
キャラメルナッツのロールケーキ

卵(M) 3個
グラニュー糖 60g
はちみつ 大さじ1
こんな小麦粉ほしかった(薄力粉) 60g
無塩バター 20g
牛乳 大さじ1


キャラメルクリーム
グラニュー糖 90g
大さじ3
無塩バター 20g
生クリーム 300cc
グラニュー糖 30g


プラリネナッツ
グラニュー糖 20g
小さじ2
ミックスナッツ(くるみ、アーモンドなど) 70g
無塩バター 5g
ピスタチオ 適宜

作り方

1. ボールに卵、グラニュー糖、はちみつを入れてハンドミキサーで白くもったりとなるまで泡立てる。生地をたらし、筋が残る位まで泡立ったら、薄力粉を加えてゴムベラで切るようにさっくりと混ぜ合わせる。

2. 無塩バターは湯せんで溶かし、牛乳を加えて混ぜ、(1)に加えて混ぜ合わせる。ツヤが出るまでしっかりと混ぜ合わせる。

3. 天板にオーブンシートを敷き、(2)の生地を流し入れ、180度のオーブンで約10~12分焼く。クーラーにとって粗熱をとる。

4. プラリネナッツを作る。小鍋にグラニュー糖、水を入れて火にかけ、沸騰したらミックスナッツを加えて木べらでよくかき混ぜ、白く結晶化させる。更に火にかけながら混ぜ、キャラメル色になってきたら火を止め、無塩バターを加えて混ぜ、クッキングシートの上に広げて粗熱を取る。半量はトッピング用にとっておき、残りは粗みじんに刻む。

5. キャラメルクリームを作る。鍋にグラニュー糖を入れて火にかけ、グラニュー糖が完全に溶けたら強火にしてキャラメル色に焦がし、火を止め、水を加え、無塩バターを加えて溶かし、粗熱をとる。

6. 生クリームにグラニュー糖を加えて8分立てに泡立て、(4)のキャラメルと混ぜ合わせる。

7. (3)の生地を一度オーブンシートからはずしてからまたのせ、四隅をカットし、(6)のキャラメルクリームを半量ぬって広げ、刻んだプラリネナッツを散らし、オーブンシートをまきす代わりにして手前から巻き、そのまま包んで冷蔵庫で30分以上休ませる。

8. 残りのクリームを表面全体にぬり、残ったら絞り袋でデコレーションし、トッピング用のプラリネナッツをのせ、ピスタチオを散らす。

調理時間=約50分
1/10カット=約341kcal

クッキングアドバイス キャラメルとプラリネナッツの濃厚な味わいのロールケーキです。ロールケーキの生地は全卵を泡立てるスポンジケーキと同じ作り方です。卵はしっかりと泡立てましょう。こんな小麦粉ほしかったは、ふるわなくてもダマになりにくいので、そのまま加えても大丈夫。作業がひとつ減ってお手軽です。はちみつを加えてしっとりと、少しカステラに似た味わいのケーキ生地に。キャラメルクリームは、グラニュー糖の焦がし具合で甘さが変わります。薄いとスィートに、濃く焦がすとビターなクリームになります。お好みでどうぞ

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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