こうして生まれた 小麦粉料理 どら焼き誕生までの壮大な年月 第14回「どら焼き」 今回は日本のお菓子どら焼き 誕生までの流れを中心に見ていこう

どら焼きの主な原料となる小麦と小豆と砂糖。それぞれ、いつ頃日本に伝わり、どうやって“どら焼き”が生まれたのでしょう。
小麦と小豆は共におよそ2000年前に大陸から日本に伝わっています。
砂糖が伝わったのは、1200年前、奈良時代のことでした。これで主な原料は出揃ったわけですが、“どら焼き”誕生までには長い年月が必要でした。
小麦や小豆は栽培が始められましたが、砂糖は栽培技術がなく、長いこと海外から持ちこまれたわずかな輸入ものしかありませんでした。そして砂糖は食用ではなく、とても高価な薬として流通していました。
それから500年後、700年前の室町時代に小豆の餡(あん)が誕生します。ただし、砂糖の餡はごくわずかな人のみに献上され、餡といっても、ほとんどは塩餡でした。

とてもぜいたく品であるどら焼きの原型は1600年代前半江戸初期に生まれています。
江戸麹町で“助惣焼き(すけそうやき)”という焼き菓子が売られました。
これは、小麦粉生地の麩(ふ)を紙のように薄く焼き、あんこをいれて四角にたたんだ「きんつば」のような和菓子でした。
このころから、中国からの砂糖の輸入が増え、1700年代の初め江戸八代将軍吉宗の時代には砂糖の栽培も始まりました。1751年には平賀源内が白砂糖の精製に成功したといわれています。
1800年頃には、江戸は神田の今川橋の露天で「今川焼き」が販売されたという記録も残っています。砂糖の普及が進むにつれ、和菓子もいろいろなものが作られるようになり、庶民の間でも菓子は甘いものとの認識が確立しました。

「おやつ」という言葉が生まれたのは、この江戸時代です。
「おやつ」は八つ時(やつどき)今の午後2時ごろに食べるので名づけられました。
3時のおやつといわれるようになったのは昭和になってからのことです。
おやつには、餅菓子・まんじゅう・ようかん・おこし・せんべいや駄菓子、水菓子と呼ばれたすいか・梨・りんごなどの果物がありました。

さて、現在の丸い2枚のカステラ風生地(卵を加えて焼きあげたもの)で、あんこをはさむ形が出来上がったのは、1914年大正3年のことでした。
上野の「うさぎや」という店が“どら焼き”と命名して売り出しました。“助惣焼き”誕生から300年後のことです。
このどら焼きが評判を呼び全国に広まっていきました。
“どら焼き”の命名の由来はいくつか言われていますが、その形が銅鑼に似ているので、という説が有力のようです。

どら焼きは幅広い層から好まれている和菓子です。
近年、生クリームを使った“生どら”や衣をスポンジ状に蒸しあげた“蒸しどら”などの新種のどら焼きも次々にでています。
またチョコレートクリーム、あるいはジャム類やカットフルーツをはさんだ変り種のものなど和菓子、洋菓子の垣根をこえたどら焼きも誕生しています。
1000年を超えるゆっくりとした歩みとは一転、どら焼きはめまぐるしく変貌を遂げています。

出典及び参考文献
  • 「たべもの起源事典」東京堂出版
  • 「小麦の食文化を知る事典」東京堂出版
  • 「事典和菓子の世界」岩波書店
  • 「日本の風土食探訪」白水社
  • 「物語 食の文化」中公新書
  • 「大江戸 ものしり図鑑」主婦と生活社
  • 「知っておきたい「食」の日本史」角川ソフィア文庫

どら焼き

どら焼き

【材料】6個分
黒豆入りの生どら

1個
はちみつ 大さじ2
牛乳 90cc
みりん 大さじ1
厚焼きふんわリッチ ホットケーキミックス 100g


あずきクリーム
生クリーム 100cc
こしあん 100g
黒豆の煮豆 30g


作り方

1. ボールに卵とはちみつを入れ、白っぽくなるまで泡立てる。
2. 牛乳、みりんを加えて混ぜ、ふるったホットケーキミックスを加えて、ダマのないように混ぜ合わせる。ラップをかけ、約15分、生地を休ませる。
3. フッ素樹脂加工のフライパンを温め、ぬれた布巾の上に底をつけて少し冷ましたら、(2)の生地を適量ずつ流し、弱めの中火で焼く。表面がぶつぶつと穴が開いてきたらひっくり返して両面焼く。(約12枚分)。
4. 生クリームは7分立てにする。
5. ボールにこしあんを入れて泡だて器でほぐし、(4)を1/3量加えて混ぜ合わせる。残りの生クリームを加えて、ゴムベラで、ふんわりと混ぜ合わせる。クリームがゆるい時は泡だて器で少し立てて硬さを調整する。

6. 生地に(5)のあずきクリーム、黒豆をのせ、生地をもう一枚のせてはさむ。

1個=約232kcal
調理時間=約30分(※生地を休ませる時間は省く)

クッキングアドバイス 泡立てた卵にホットケーキミックス、みりんとはちみつを加えると、いつものホットケーキからしっとりと甘いどら焼きの皮に変身です。卵を泡立てるので、生地が少し柔らかめです。ぶつぶつと穴が開いて、底面がしっかりと焼けてからそっとひっくり返すようにしましょう。ただ、はちみつやみりんが入っている分、焼き色がつき易いので、弱めの中火で焼き、焦がさないよう気をつけて下さい。市販のあんことホイップした生クリームを合わせた“あずきクリーム”をはさむと更にしっとりと味も馴染みます。黒豆も小豆とはまた違う深みのある味わいと粒の食感が良いアクセントに。クリームに混ぜこんでも良いでしょう。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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