こうして生まれた 小麦粉料理 関西のたこ焼き、関東のもんじゃ焼き。その特徴は? 第12回「たこ焼きともんじゃ焼き」 今回はたこ焼きともんじゃ焼き! 東西の独特の文化から生まれました。

たこ焼きは、大阪で生まれ、全国に広がりました。
大正から昭和にかけて、大阪は、繊維産業や造船をはじめとする鉄鋼業などが活況を呈し、全国から工場労働者がたくさん集まってきていました。夜の大阪の街は働く人たちのための、様々な食べものの屋台がひしめきあっていました。
その中にたこ焼きの前身である「ラヂオ焼き」の屋台も数多く並んでいました。
作り方は、直径3~4センチのくぼみに小麦粉を水に溶いた生地を入れ、さらに具を入れてハリの先でひっくり返して焼くという、たこ焼きの作り方とまったく同じです。
但し、具材の主役はコンニャクでした。おなかをすかせた若い労働者にはちょっともの足りなかったのかもしれません。昭和8年主役の具材に牛スジの煮込みが使われたこともありました。そして、昭和10年「明石焼き」をヒントにタコをメインにした「たこ焼き」が誕生しました。終戦後には独特の濃厚ソースやマヨネーズをかけて食べるようになり、「たこ焼き」はこれまで経験したことのない新しい味として、全国に広がっていきました。

「たこ焼き」以前から食べられていた「明石焼き」は、大阪に隣接する兵庫県で卵とタコだけで作られ、冷やしたダシ汁につけて食するものでした。
江戸時代、女性のかんざしに使われる「明石玉」と呼ばれる色鮮やかな装飾品が、明石の大きな産業になっていました。この鉛の玉「明石玉」に彩色するためのベースになっていたのが、卵の白身です。
この工程でたくさん余ってしまう卵の黄身を活用したのが、「明石焼き」とされています。
また、明治の中頃、価格の低いセルロイドが大量に輸入されるようになり、職を失った職人たちが「明石玉」の型を使って「明石焼き」の屋台をはじめたともいわれています。

ヨーロッパでは、タコを食べることに抵抗のある国が多いのに比べ、アジアでは「たこ焼き」は喜んで食べられています。
タイ、台湾、インドネシア、シンガポール、マレーシア、中国、韓国。「たこ焼き」は近年アジアに次々に進出。アジアの各都市では「たこ焼き」は「TAKOYAKI」としてフードコート、デパ地下や屋台等で売られています。

大阪の家庭の8割が「たこ焼き器」を持っているといわれるくらい「たこ焼き」は大阪名物です。それに対し、「もんじゃ焼き」は主に東京では下町、また埼玉県や群馬県、栃木県では一部の地域でのみ嗜好された、ちょっと変り種の名物料理です。

1814年葛飾北斎が刊行した「北斎漫画」には、「もんじゃ焼き」の前身といわれる「文字(もんじ)焼き」の店が描かれています。「文字焼き」は砂糖をまぶした小麦粉の水溶き生地を、鉄板に文字を描いて流し込み焼いて食べる、子供たちが大好きなお菓子でした。
天保年間(1830~1844年)には、江戸ではいたるところに寺子屋があり、貸本屋は800軒もあったそうですから、庶民の識字率はかなり高かったと思われます。

遊び、楽しみながら食べられる子供たちのたまり場のおやつは、昭和のはじめ東京下町の駄菓子屋で「もんじゃ焼き」として復活します。
当時はソース味だけつけられていて、キャベツ等の具材はいっさい入っていませんでしたが、それでもコテでペタペタ焼きながら食べる「もんじゃ焼き」は、子供たちの人気お菓子であり、下町の駄菓子屋に欠かすことのできないものでした。
昭和40年代に入ると下町でも駄菓子屋は減り続け、「もんじゃ焼き」はこどものおやつから、下町の伝統料理として、対象を大人に変えることになります。

「もんじゃ焼き」を好まない、あるいは、食わず嫌いの人の多くは、生地の「べちゃべちゃ」感と「ちびちび」食べるのが嫌と言います。
確かに、あれほど水を加える食べ物はほかには見当たりません。しかし、ゆるゆるの生地から自分の好みの焼き加減を発見し、その味を楽しむ醍醐味は「もんじゃ焼き」ならではのものです。こどもの心で食べてみてはいかがでしょう。

出典及び参考文献
  • 「粉もん」庶民の食文化」朝日新書
  • 「関西人と関東人の味の違いに驚かされる本」KAWADE夢文庫
  • 「平成版・大江戸好食物語」NHK出版
  • 「「県民性」がわかるおもしろ食の大事典」青春出版社

羽根つき餃子たこ焼き

羽根つき餃子たこ焼き

【材料】4人分(約50個分)
本場大阪たこ焼粉 1/2袋(250g)
1個
750cc
茹でたこ 150g
豚挽き肉 140g
長ねぎ 1/3本分
キャベツ 200g
しょう油 大さじ1
ごま油 小さじ2
おろし生姜 少量
ニラ 1/2束


羽根(※1回分)
 ハート(薄力粉) 小さじ2
80cc
ごま油 少量

作り方

1. ボールにたこ焼粉、卵、水を入れ、泡だて器でダマがなくなるまでよく混ぜる。

2. ゆでたこは一口大のぶつ切りにする。

3. 長ねぎは粗みじんに切る。キャベツはさっと茹でてから粗みじんに切り、軽く水気を絞る。

4. 豚挽き肉に、(3)、しょう油、ごま油、おろし生姜を加えて粘り気が出るまでよく混ぜてから、絞り袋に入れ、口先をカットする。

5. たこ焼きの焼き型をよく熱し、油を多めにひき、(1)の生地を型の7分目まで流し、(4)のたねを絞り、へら(又はバターナイフ等)で切りながら一口大ずつ入れ、更に生地をたっぷりと流し、ゆでたこ、ニラを加える。

6. まわりが固まってきたら竹串などであふれている生地を集めながらくるくると回し、丸く焼き上げる。

7. お好みで羽根をつける。薄力粉と水を混ぜ合わせて溶く。

8. 温めたフライパンに(7)を流し、たこ焼きを16~18個位ずつ並べ、ごま油を鍋肌から少量流し入れ、蓋をし、羽根が固まってキツネ色に焼けたら皿に取り出す。お好みでしょう油、酢、ラー油をつけて頂く。

1人分=約394kcal
調理時間=約30分

クッキングアドバイス たこ焼きと餃子をミックスした変わりたこ焼き。餃子に包むたねをそのままたこ焼きに入れました。たねを入れる時は絞り袋(又は厚めのビニール袋)に入れて絞り、へらで切り離すようにして入れていくと、効率よく、手も汚れません。焼きたてをそのまま頂いても美味しく頂けます。ひとつ手間を加えて、羽根つき餃子のように小麦粉の羽根をつけても、パリパリ感と中の生地のとろり感のふたつの食感が楽しめるおもしろいたこ焼きになります。食べきれなかった分を温める感覚で試してみても良いでしょう。おつまみやご飯のおかず、おやつにもなるたこ焼きの新しい食べ方です。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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