こうして生まれた 小麦粉料理 ピッツァはナポリの漁師飯?! 第10回「ピッツァ」 今回は熱々のピッツァのお話 マルゲリータはイタリア国旗の象徴なんだって

ピッツァはファストフードとして誕生しました。
小麦粉を使い、酵母で発酵させた生地を焼く。パンとピッツァは同じような工程でつくられますが、注文を受けてから焼きあげ、そのまま熱々を食べるのがピッツァの醍醐味であり、冷めたらおいしさがそこなわれてしまいます。
アメリカでは「活気がない」「味気ない」という意味の“冷めたピザ”という言葉があります。

ピッツァは、1660年イタリアのナポリで生まれました。
ラード、バジリコ、粉チーズをのせて焼いたものといわれています。
トマトソースや、オリーブオイルはまだ使われていません。
15世紀南米から渡ったトマトは、実には毒があると思われていて観賞用としてのみ栽培され、長い間食用にはなりませんでした。 17世紀後半に出現し徐々に認知を広めていった食用トマトは、イタリアの食生活に革命をもたらせました。パスタの消費が飛躍的に伸び、庶民にも定着するようになり、1750年頃にナポリで誕生したトマトソースを使ったピッツァも庶民の一般的な食べ物になりました。このトマトソースを使ったピッツァこそが、現在のピッツァの原点であるといわれています。
南イタリア、ナポリは古くから漁港として栄えた町です。トマトソースのピッツァは、早朝の漁から戻った漁師たちが手っ取り早く腹を満たす為に、地元のパン屋さんにつくらせたのが始まりだそうです。日本でいう漁師飯とか、まかない飯と呼ばれるものですね。焼きたての立ち食いピッツァはナポリの名物郷土料理になりました。

ピッツァがイタリア全土で話題になるきっかけとなったのが、19世紀後半、ナポリを訪れた王妃マルゲリータのために職人が腕によりをかけてつくったピッツァでした。
赤いトマト、白いモッツァレラチーズ、緑のバジリコ、イタリアの国旗に見立てたこのピッツァに、王妃マルゲリータはとても満足します。もはや、田舎料理と呼ぶ人はいません。「ピッツァマルゲリータ」と名づけられ、今日でもベーシックなピッツァとして高い人気を保ち続けています。

ピッツァは19世紀後半、イタリア移民によってアメリカにもたらされました。アメリカに渡ったピッツァは「ピザ」または「ピザパイ」と呼ばれ独自の変遷をとげました。

日本ではアメリカ風を「ピザ」、イタリア風を「ピッツァ」と区別して呼ぶこともあります。
日本に初めてやってきたピッツァは、アメリカ風「ピザ」でした。
1954年東京の飯倉でアメリカ人オーナーが開店した「ニコラス・ピザハウス」がそれで、流行に敏感な映画スターや、ファッションモデルがこぞって訪れたといいます。
以来、日本では「ピザ」の呼称が定着し、ピザといえばアメリカ風のものだったのですが、1980年代まさにバブルの華やかだった頃にイタリア料理ブームが到来し、イタリアの「ピッツァ」がここで初めて多くの人々に紹介されるようになりました。
いずれにしてもピッツァは、日本では、もともとの漁師飯というイメージは全くなく、華やかな料理として伝えられました。

「ピッツァ」=「ピザ」がより一般的になったのが1985年に始まった「宅配ピザ」です。
熱々をお届けするというコンセプトで、当初は「配達に30分を超えたら返金します」が売りでした。大変注目され社会現象にもなりましたが、急ぐあまりに乱暴な運転が目立ったりするなどの問題が発生したため、やがてこの返金システムはなくなりました。
また、冷凍食品の普及もピッツァをより身近なものとしました。

今やピッツァはご家庭で、窯がなくても、おいしくつくることができます。是非、チャレンジしてみてください。

出典及び参考文献
  • 「真のナポリピッツア技術教本」旭屋出版
  • 「世界の味探求事典」東京堂出版
  • 「イチバン親切なイタリア料理の教科書」新星出版社
  • 「イタリア式少しのお金でゆったり暮らす生き方」講談社+α新書
  • 「人気のイタリアン」世界文化社
  • 「お届けにあがりました!」ポプラ社
  • 「アメリカのおいしい食卓」平凡社

ピッツァ・カプリチョーザ

ピッツァ・カプリチョーザ

【材料】直径20cm・2枚分
ピッツァ生地

ふっくらパン強力小麦粉 150g
ハート(薄力粉) 150g
ふっくらパンドライイースト 3g
小さじ1
150cc


オーマイホールトマト 1/2缶(200g)
アンチョビ 4フィレ
種抜き黒オリーブ 6粒
サラミ 40g
ピザ用チーズ 60g
打ち粉 適量




作り方

1. ボールに強力粉と薄力粉を合わせてふるい、中央をドーナッツ状に穴をあけ、そこへ水ドライイースト、塩を入れ、指先でよく混ぜる。

2. まわりの粉を少しずつくすしながら、混ぜ合わせる。ある程度まとまってきたら台の上に出し、表面がつるっとなめらかになるまでこねる。丸く形を整え、ボールに戻して堅く絞ったぬれ布巾をかぶせて、温かい場所で約40分~1時間、発酵させる。

3. 約2倍の大きさになったら生地を一度つぶし、2つに分割して丸め直し、乾燥しないようにぬれ布巾をかぶせ、10分休ませる。

4. 打ち粉をした台の上にのせ、平らにつぶし、手首で中央から縁に向かって押すようにしてのばしていく。縁の部分は厚みが残るようにし、約20cmの大きさになるまで薄くのばす。

5. ホールトマトはつぶしてピュレ状にし、アンチョビは刻み、黒オリーブはスライス、サラミは輪切りにする。

6. (4)のピザ生地にホールトマトをぬり、残りの(5)の材料、ピザ用チーズをトッピングし、オリーブ油をかける。

7. 250度のオーブンで約5~6分焼く。

1枚=約823kcal
調理時間=約40分(※発酵時間は除く)

クッキングアドバイス ナポリ風のピッツァ生地。少し硬めの生地なので、こねる時は少し力が必要ですが、手首に体重をのせるようにして根気強く、表面がお餅のようにつるりとなるまでこねましょう。 生地をのばす時も、めん棒は使わず、縁のふくらみを残すようにして手でのばしていくと、耳がふっくら美味しいナポリ風ピッツァの味わいに。なるべく高温で短時間で焼き上げる事も美味しさのポイントですが、ご家庭のオーブンがレシピの温度まで上がらないときは、温度に応じて、焼き時間をのばして調整してください。 プリチョーザとはイタリア語で「気まぐれ」という意味。お好みのトッピングでお楽しみ下さい。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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