こうして生まれた 小麦粉料理 パンは文明開化の象徴 第9回「パン」 食パン、あんぱん、コッペパン、揚げパン 今回のテーマはパンです。

小麦の栽培はラテン語で「大地の真ん中」を意味する地中海の沿岸で始まりました。
小麦粉を食料とする歴史は古く、7000年以上も前に無発酵の生地を平たく固めたピザ状の食べ物がありました。
その後古代エジプトで自然発酵した生地を焼いたのがパンの始まりといわれています。
紀元前25世紀頃に書かれたエジプトのピラミッド内の壁画には、パン作りの記録が詳細に残されています。

パンだけではないのですが、下のデータは小麦を多く消費する国のベストテンです。
上位は地中海近くでパンやナンが主食の北部アフリカや中央アジアの国が多く入っています。フランスパンのフランスや食パンのイギリス、パスタのイタリアはランク外という意外な結果になっています。

※小麦を多く消費する人々(1人1日あたり:グラム)
1. アルジェリア 542 7. タジキスタン 488
キルギス 8. ウズベキスタン 456
3. チュニジア 533 9. アゼルバイジャン 448
トルクメニスタン 10. イラン 446
5. トルコ 504
6. モロッコ 497 *109. 日本 121
(FAOSTAT 2003-2005)


日本で初めてパンを製造したのは幕末。押さえ込もうにも押さえ込めないほどの力を持った西洋の文化が流入していた時期でした。作ったのは伊豆韮山(にらやま)の代官江川太郎左衛門。
江川家は代々名門で「江川邸」は現在も伊豆韮山に重要文化財として残されており、当時のパン焼き釜も保存されています。
江川太郎左衛門は日本で最初に大砲をてがけた人でもありました。パンは戦(いくさ)用のもので乾パンのようにカチカチの固さだったといいます。

国内で食パンが作られたのは明治時代に入る4年前、1862年のことでした。イギリス人のロバート・クラークが横浜にベーカリーをオープンしました。
西南戦争の際には官軍が食パンを採用したことで、食パンが一般に普及するきっかけとなったといわれています。パンを食べるということは、文明開化の象徴でもありました。
ちなみに現在食パンは、関東が6~8枚切りが圧倒的に多いのに対し、関西では4~5枚切りの厚切りの方が需要が高いのだそうです。関東はサンドイッチが先駆けて紹介されたこともあり、薄いパンが好まれるようになったようです。サンドイッチを日本で売り込む為のキャッチフレーズは「西洋の寿司」だったそうです。ピクルスはガリに見立てられたのでしょうか。

あんパンは木村屋創業者木村安兵衛が考案し、明治7年(1874年)に銀座の店で売り出したところ、たちまち好評を博し、翌明治8年4月4日には明治天皇にも献上されました。
以来、4月4日は「あんぱんの日」となっています。

学校給食が始まったのは明治22年(1889年)山形県の私立小学校でした。それから
各地で少しずつ広がっていったのですが、全国で隈なく給食が実施されたのは昭和27年(1952年)のことでした。コッペパンに脱脂粉乳のミルク、おかずが1品程度(例えば鯨の竜田揚げに千切りキャベツ)という内容でした。
今でもこどもたちに人気の高い「揚げパン」の登場は昭和30年代後半でした。当時は友達が休んだことで、あまった揚げパンの権利を競い合うじゃんけんの声が多くの教室から響いていました。

近年フランスではパン職人の腕前を競う新たな国際コンクールが次々と開かれています。
2007年には食の基本、美食の要素、栄養の指南となるパンを目指すコンクール「モンディアル・デュ・パン」。
2010年には世界一のパン職人を決める「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー」が開催され、日本からも出場し、それぞれ上位に入賞しています。

出典及び参考文献
  • 「パンの歴史」河出書房新社
  • 「フランス 食の事典」白水社
  • 「にっぽん食探見」京都新聞出版センター
  • 「関西人と関東人の味の違いに驚かされる本」河出書房新社
  • 「日本の食欲、世界で第何位?」新潮新書

きなこの揚げパン

きなこの揚げパン

【材料】4個分
40分で焼きたてパンミックス 1袋(152g)
ドライイースト(別添) 5g
バター 10g
牛乳 100cc
揚げ油 適量
グラニュー糖 30g
きなこ 15g

作り方

1. 耐熱ボールに牛乳、バターを入れて電子レンジ強(600W)で30秒加熱する。泡だて器でよく混ぜ、ドライイーストを加えて混ぜる。

2. ミックス粉を半量加えてなめらかになるまで混ぜ、残りのミックス粉を加えて菜箸で1分混ぜる。生地をボールごと電子レンジ弱(200W)で30秒、加熱する。

3. 生地を4等分にし、軽くつぶしてから切り口を巻き込むようにして丸め、ラップをふんわりとかけて10分休ませる。

4. めん棒で生地を楕円形にのばし、上下を軽く重なるようにして折る。

5. 更に半分に折り、端から生地をつまむようにして閉じる。ころころと軽く転がし、とじ目を下にして形を整える。

6. (5)を電子レンジ弱で30秒加熱し、そのまま約10分室温において発酵させる。

7. 揚げ油を中温にし、生地をそっと入れ、両面キツネ色になるまで揚げる。

8. グラニュー糖ときなこをバットに合わせ、(7)を入れて全体にまぶす。

1人分=約319kcal
調理時間=約40分
※表紙写真は、イメージとして、生地を2等分にした大きさです。レシピは、作り易い4等分で表記しています。

40分で焼きたてパンミックス

40分で焼きたてパンミックス

クッキングアドバイス 給食をイメージした昔懐かしい揚げパン。今回はきなこバージョンですが、お好みでグラニュー糖のみ、又はシナモンシュガーでも。2次発酵後、油で揚げずに、200度のオーブンで10分程焼けばコッペパンになります。ジャムやマーガリン、又は野菜やコロッケなどのお惣菜をはさんだりしても良いでしょう。バリエーション豊かなプレーンなパンは、普段のお食事にも便利です。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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