こうして生まれた 小麦粉料理 鶏のからあげは日本独特のもの? 第7回「からあげ」 唐あげ? 空あげ? 今回はからあげのお話です。

「からあげ」の起源は明らかになっていません。表記も“唐揚げ”だったり“空揚げ”だったりしますが、辞書では概ね、併記されています。
“唐揚げ”は中国から伝わったから、“空揚げ”は衣をあまりつけないで揚げるからが命名の由来のようです。

江戸時代の後期、今の愛媛県の今治市で“せんざんき”という雉(キジ)を油で揚げる料理が生まれ、これが「からあげ」の始まりであるといわれています。
外食メニューとして始めて登場したのは、昭和のはじめ、東京銀座の“食堂三笠”でメニュー名は「若鶏の唐揚げ」でした。

日本唐揚協会によると、からあげは日本独特のもので、戦後食料難に備え養鶏場を多く作るという国の政策の下、美味しい食べ方が色々な形で発展していき、鶏のからあげが多く食べられるようになったそうです。
実際、中国では油で揚げるからあげ料理はたくさんありますが、主に鶏だけに特化している日本のからあげとは少し違っているようです。日本でもポピュラーなのが“油淋鶏”(ユーリンチー)で鶏のからあげに、刻んだ長ネギ、酢と醤油のタレをかけた料理です。

中華料理の発展は宮廷料理と密接な関係にあります。からあげもさまざまな食材で試され作られていきました。
西太后は、毎度の食事に三つのテーブルをしつらえさせ、料理や菓子を必ず百種類以上用意させたそうです。一瞥して食べたければその場に置かせ、食べたくないものは下げさせました。夏のスイカなどはおいしいとされる真ん中のごく一部だけ食べるので、一日に300個以上も必要だったことがあるといます。 西太后は1900年に失脚しましたが、西太后以前の支配者たちはもっと贅沢だったことが想像できます。

アメリカのからあげといえばフライドチキンです。
日本のからあげとフライドチキンの主な違いは、からあげは「一度揚げ」に対し、フライドチキンは「二度揚げ」することです。
フライドチキンの誕生は18世紀末のアメリカ。当時は、鶏の股や胸の肉をローストチキンにして食べ、火の通りづらい、骨の周りのかたい肉は食べられない部分として捨てていました。骨の周りの肉も食べられないかと考え、最初に低温で揚げ、骨の周りのかたい肉まで火を通してから高温で揚げるという二度揚げが試され、フライドチキンが誕生。この二度揚げの調理法で、骨の周りまで食べられる料理として評判になり、アメリカ南部の名物料理として広まりました。
そして、さらにカーネルサンダースが圧力釜を使う調理方法を開発しました。

※鶏肉の生産国ベスト10
1 アメリカ
2 中国
3 ブラジル
4 メキシコ
5 インド
6 ロシア
7 イラン
8 日本
9 インドネシア
10 イギリス
FAOSTAT2008
※鶏肉をよく食べる人々ベスト10(1人1日あたり)
1 イスラエル
2 クウェート
3 セントビンセント及びグレナディーン諸島
4 バハマ
5 アメリカ
6 セントルシア
7 ジャマイカ
8 アラブ首長国連邦
9 アンティグア・バーブーダー
10 セントクリストファー・ネーヴィス
*71 日本  FAOSTAT Food consumption2003-2005


アメリカでは分厚いビーフステーキというイメージですが、鶏肉が生産量でも消費量でも牛肉を凌駕しています。
鶏肉をよく食べる国はイスラムの国と並んでカリブ海の島国が上位を占めています。
これらの国から新しい鶏のからあげが生まれるかもしれません。

出典及び参考文献
  • 「フランス料理の「なぜ」に答える」柴田書店
  • 「中国人的生活芸術 料理の国へようこそ」三省堂
  • 「中華料理の文化史」ちくま新書
  • 「江戸のファーストフード」講談社選書メチエ
  • 「クックブックに見るアメリカ食の謎」東京創元社
  • 「世界の食文化 アメリカ」農文協
  • 「食べる日本史」朝日文庫
  • 「近代日本食文化年表」雄山閣
  • 「日本の食欲、世界で第何位?」新潮新書
  • 日本唐揚協会公式ホームページ

屋台風から揚げ2種

屋台風から揚げ2種

スナックチキン(フライドチキン味)
【材料】1個分

鶏もも肉 1枚(約250g)
これでい粉(フライドチキン味) 30g
30g
サラダ油 適量


ピリ辛から揚げ
【材料】2カップ分

鶏もも肉 1枚(約250g)
から揚げ粉(塩味) 25g
長ねぎ 1/5本分
食べるラー油 小さじ2
サラダ油 適量

作り方

1. スナックチキンを作る。鶏もも肉は、厚みのある部分に包丁で切れ目を入れて開き、均一の厚みにする。皮目は包丁の先で刺して、数箇所穴を開けておく。

2. これでい粉と水を混ぜ合わせ、(1)の鶏肉を10分以上漬け込む。

3. 低温の揚げ油に入れて約4~5分、ゆっくりと火を通し、高温にして約3分、キツネ色になるまでカラリと揚げる。

4. ピリ辛から揚げを作る。鶏もも肉は、8等分に切り、ビニール袋にから揚げ粉と共に入れ、ふりながらよくまぶし、そのまま5分おく。

5. 中温の揚げ油で約4分、キツネ色になるまでカラリと揚げる。

6. 長ねぎは細切りにする。

7. カップに(5)のから揚げを盛り、長ねぎをのせ、食べるラー油をかける。

スナックチキン1個=約728kcal
調理時間=約20分
ピリ辛から揚げ1カップ分=約397kcal
調理時間=約15分

これでい粉(フライドチキン味)

これでい粉
(フライドチキン味)

から揚げ粉(塩味)

から揚げ粉(塩味)

クッキングアドバイス 台湾の屋台風から揚げ2種。大きく開いた鶏肉は、ジューシーでコクのある味わいに。胸肉で作ると衣はスパイシーながらもあっさりとした味わいです。お好みでどうぞ。カップに盛りつけたから揚げは、行楽やパーティーにも良いでしょう。トッピングをいくつか用意すれば、お好みで多種な楽しみ方が。粒マスタードや甘酢タレなどもおすすめです。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

TOPへ戻る