こうして生まれた 小麦粉料理 卵、うどん、さとう、これを合わせて焼くなり 第5回「カステラ」 今回は竜馬も作ったかもしれないカステラのお話 カステラは長崎に伝わりました

室町時代の1543年にポルトガル人が種子島に漂着、日本に鉄砲を伝えました。その6年後、スペインの宣教師フランシスコ・ザビエルが来日しました。
島国日本の存在を知ったヨーロッパの列強国は、関心を示しその後も続々と使者を送り込みました。
1560年代には、長崎が開港、南蛮貿易がスタートし、日本人がこれまで知らなかった様々なものが輸入されました。その中にカステラもありました。カステラはポルトガル人かスペイン人によってその時代に製法が伝えられたといわれています。

鉄砲伝来以降、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康らが次々に外国人の迫害や排斥を行いましたが、徳川第2代将軍による鎖国政策開始まで約百年もの間、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダなどとの貿易が広く行われ、多くのモノとともに様々な学問などの情報も入ってきました。
長崎では、士農工商の身分がきちっと固定的だった時代でも、商人が武士に、また武士が商人になるなど、独特の自由な気風、文化がありました。海外からもたらされたもの、例えば、てんぷらやカステラなどを、工夫をこらし日本人の味覚にあったものに作り変えました。

カステラは、16世紀始めごろ、スペインで作られたものといわれています。
1492年コロンブスのアメリカ大陸発見に続き、スペインは南米や西インド諸島を次々に征服します。スペインは征服したこの地で砂糖きびの生産を大幅に増やしました。
砂糖の普及は製菓技術を飛躍的に向上させました。それまでのお菓子といえば、ビスコチョとよばれるかたいビスケット類が主流でしたが、小麦粉、砂糖を使い、卵を攪拌し窯でふんわり焼きあげるお菓子が生まれました。それがカステラです。
カステラの語源は、スペインからポルトガルの「スティーリャ」という地に伝わり「カスティーリャのお菓子」と名づけられ、日本に伝わった時には「カステラ」と呼ばれるようになりました。

ヨーロッパでは、カステラはスポンジケーキになり、さらにクリームをのせたケーキに発展するのですが、日本では400年近くもの長い間カステラのままでした。

今なおカステラがおいしく、高い商品価値を持っているのはこの長い歴史の積み重ねがあるためでしょう。
江戸時代中期には今日の四角いカステラができあがっていました。銅の焼鍋の中に厚紙を箱型に折って敷き、そこへ種を流しいれ、上に渋紙で蓋をして火にかけ、熱が通ったら、今度は回りに炭火を置き、オーブンのように熱を加えてふんわりと焼き上げました。

幕末長崎はヨーロッパの列強国の人々がこの地を席巻していました。1864年勝海舟に同行し長崎に来た坂本竜馬は、日本で最初の貿易会社亀山社中(後の海援隊)を結成します。
京都国立博物館に収蔵されている「雄渾姓名録」(海援隊雑記帳)には当時のカステラの製法が右のように記されています。

蜂蜜や水あめを加えるのは明治時代以降のことだそうです。

当時のカステラの製法

出典及び参考文献

  • 『カステラ文化誌全書』平凡社
  • 『たべもの日本史』河出書房新書
  • 『近代日本食文化年表』雄山閣
  • 『食べものふしぎ博物館 グルメのおもしろ語源集』フットワーク出版
  • 『洋菓子はじめて物語』平凡社新書

フライパンカステラ

フライパンカステラ

作り方

1. ボールに卵、卵黄、三温糖を入れて、湯せんにかけながらハンドミキサーで泡立てる。人肌位の温度に温まったら湯せんからはずし、更に白っぽく、筋が少し残ってゆっくりと消える位まで泡立てる

2. はちみつ、牛乳は合わせて湯せんにかけ、はちみつがさらっとなって牛乳となじむまで温まったら、(1)に加えて更に泡立てる。

3. ふるった強力粉を2回に分けて加え、ゴムベラで返すようにし、生地にツヤが出るまでよく混ぜる。

4. フライパンに薄くバターをぬり、(3)の生地を流し入れ、台の上に底をたたきつけて気泡をつぶし、更にゴムベラで十字に切るようにして大きな気泡をつぶす。※表面に泡が出てきたらならすようにしてつぶす。

5. 170度のオーブンで約30~35分焼く。表面をさわって弾力があれば焼きあがり。

1個分=約706kcal
調理時間=約45分

クッキングアドバイス フライパンは取っ手ごとオーブンに入れられるタイプのものを使用しましょう。無ければ、ケーキ型や紙の型でも大丈夫です。普段食べるカステラは生地の目がずっしりと詰まった強力粉で作るカステラですが、絵本の“ぐりとぐら”に出てくるフライパンカステラは、薄力粉で作るスポンジケーキタイプのようです。軽い口当たりに焼きあがりますので、お好みでどちらでも同じ要領(分量)で作れます。大きな気泡を残さないことが、しっかりとキメの整ったカステラになるポイント。(4)の工程のように、きちんと泡切りをしましょう。焼きたてもふわふわで美味しいですが、一日おくと、生地もしっとり落ち着いてはちみつの風味が増し、また違った味わいを楽しめます。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

TOPへ戻る