こうして生まれた 小麦粉料理 油で揚げる日本料理 ー はじまりはてんぷら? 第2回 てんぷら 今回のテーマはてんぷら てんぷらの起源には様々な説があります

てんぷらの起源・語源は、ポルトガル語の「テンペラ」説、オランダ語の「テンポラ」説、中国からの渡来説、日本で生まれたという説など諸説あります。
調理の基本は4つ、すなわち生で食べる、煮て食べる、蒸して食べる、焼いて食べる、です。
そしてもうひとつ、今回のテーマ天ぷらのような油で揚げて食べる調理法があります。
もともと日本では油で揚げる料理はなかったので、てんぷらは海外から伝わったという説が有力です 。

西洋では、ギリシャ・ローマ時代から油で「揚げる」調理法はありましたが、日本では1596年江戸時代以降に普及したものと思われます。
油は江戸時代以前は貴重なもので、ごま、えごま、かや、菜種などの植物油が主に灯明用、整髪用に使用され、料理に使われるのはほんのわずかで、ましてたっぷりの油につけて揚げるのは想像もつかないことでした。

長崎に伝えられたと思われるてんぷら。その始まりは甘いお菓子のようなてんぷらでした。
衣となる小麦粉には水を加えず、卵と酒と塩、さらに砂糖が使われていました。
近海で取れた甘鯛やえびなどが種で、見た目もとても美しいものだったといわれています。
てんぷらは長崎から京都に伝わり、さらに江戸に伝わっていきました。各地で種や衣に違いがありますが、油で揚げる料理が日本に定着していきました。

有名な伝説に徳川家康は鯛のてんぷらにあたったのが原因で死亡したというのがあります。
真偽は定かではありませんが、当時その噂は広がり、武士の間では、てんぷらは敬遠されました。同じように、きゅうりは切り口が葵のご紋に見えるとのことでこれも敬遠されました。てんぷらやきゅうりの禁止令が出ていたわけではないのですが、右へならえで当時の武士はしばらくはてんぷらを口にしなかったといいます。
禁止令が出ていないわけですから、江戸の庶民はすぐにこの新しい料理に夢中になります。
江戸には様々な屋台が並びましたが中でも人気があったのがてんぷらの屋台です。
江戸湾(東京湾)でとれた江戸前の魚に、小麦粉を水で溶いた衣をつけて揚げ、その揚げたて熱々を串にさして、天つゆをつけ、その場で食べられるのだからたまりません。せっかちな江戸っ子にぴったりのファーストフード、それがてんぷらだったのです。
ごま油や菜種油が増産され、小麦粉の生産も増え続けていた時期でした。

もうひとつ、屋台で人気を博したのがそばです。そば粉8に対して小麦粉2の割合で作られたのどごしのよいそばは、もう一方の花形でした。この人気者同士が合体するのは必然だったのでしょう。幕末も近い文化・文政時代(19世紀はじめ)にはてんぷらそばは江戸の名物になりました。「そばにはてんぷら」は現在まで脈々と受け継がれています。いったい最初に商売を始めた人はどれだけ稼いだのでしょう。
また、てんぷらそばがうまれた文化・文政時代には、てんぷらは屋台だけではなく、料理屋でも振舞われることになります。江戸時代初期からあった屋台から屋内へと、二百年もの時間がかかったのは、てんぷら料理は火と油が使われるので、火事の多い江戸では安全が確認できるまで屋内での調理は見送られていたためと思われます。
庶民の味てんぷらは、料理屋で様々な工夫がされ徐々に高級料理に変貌していきました。
明治時代には、多くの名店と呼ばれるてんぷら屋が今でいうガイドブックのような案内本で紹介ます。

出典及び参考文献
  • 「江戸前の素顔」つり人社
  • 「ヴィジュアル日本生活史 江戸の料理と食生活」小学館
  • 「江戸のファーストフード」講談社選書メチエ
  • 「日本食物文化の起源」自由国民社
  • 「たべもの歴史散策」時事通信社
  • 「天ぷらの本」柴田書店
  • 「日本料理の社会史 和食と日本文化」小学館

バラエティー天ぷら

バラエティー天ぷら

【材料】


油少なめてんぷら粉 125g→3種全量分
適量 1カップ(200cc)
揚げ油 適量


タワーさつま芋天(2個分)
さつま芋 1本(約320g)


バラエティー串天(8本分)
ブロッコリー 40g
カリフラワー 60g
れんこん 50g
しし唐辛子 4本
ペコロス 5個
かぼちゃ 50g
うずら卵(水煮) 5個


えびとコーンのプチかき揚げ(約16個分)
スィートコーン(又はとうもろこし) 170g
むきえび 200g
片栗粉 少量
油少なめてんぷら粉 大さじ1

作り方

1. てんぷら粉と水をダマのないように混ぜ合わせる。

2. タワーさつま芋天を作る。さつま芋は半分に切り、水でよく洗う。水気をふかずに、クッキングペーパーで1/2個ずつ包む。電子レンジのターンテーブルに割り箸を2本置き、その上にさつま芋をのせ、電子レンジ(200W)で約5分加熱する。(※1/2個ずつレンジにかける。)(1)の天ぷら衣をつけ、低温(約140度)で約20分、ゆっくりと揚げる。

3. バラエティー串天を作る。ブロッコリー、カリフラワーはひと口大の小房に切り、れんこんは1cm厚さの半月切り、しし唐辛子は楊枝で数箇所穴を開け、ペコロスは皮をむく。かぼちゃはひと口大に切る。耐熱皿にれんこん、ペコロス、かぼちゃをのせ、ラップをかけ、電子レンジ(600W)で約1分30秒加熱する。下ごしらえした野菜、うずら卵を、串にお好みの順に4個ずつ刺す。(1)の天ぷら衣をつけ、中温の揚げ油で揚げる。

4. えびとコーンのプチかき揚げを作る。むきえびは片栗粉をまぶしてもみ洗いし、水で洗い流す。水気をよくふいてぶつ切りにする。スィートコーンと合わせ、まかせて粉を全体にまぶす。(1)の天ぷら衣を適量加えてよく混ぜ合わせ、スプーンで一口大にすくい、中温の揚げ油にそっと落として揚げる。

5. それぞれ、お好みで塩や天つゆにつけて頂く。

さつま芋タワー天:1個(1/2本分)=約414kcal
調理時間=約35分
バラエティー串天:1本=約114kcal
調理時間=約30分
えびとコーンのプチかき揚げ:1個=約62kcal
調理時間=約20分

クッキングアドバイス バラエティー串天は、一本で色々な素材を楽しめる天ぷら。串で刺し易い様に、硬い野菜は、予めレンジで加熱するか、さっと下茹でしておきましょう。こうしておくと火が通り易いしし唐辛子などの野菜やうずら卵などと揚げ時間が同じでも均等に火が通り、美味しく頂けます。 えびとコーンのプチかき揚げは、生のとうもろこしが手に入る時期は、是非おすすめです。生のまま包丁でこそげ落として、使いましょう。シャキシャキとした歯ごたえと甘みが楽しめます。また缶詰のスィートコーンならば、一年中楽しめます。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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