こうして生まれた 小麦粉料理 フランスの王室に嫁いだお姫さまのおやつとして作られた? 第1回 シュークリーム 新シリーズ第1回目は「シュークリーム」です。毎回、みんなが大好きな料理やお菓子について楽しく伝えていきます。

フランスのお菓子シュークリーム、フランスではシュー・ア・ラ・クレームといいます。
シューとはフランス語で「キャベツ」のこと、シュー生地を丸く絞って焼いたものがキャベツに似ているところからこの名がついたといわれています。
シュー皮は、オーブンで加熱した時に水分が蒸発し、外へ出て行こうとして生地が押し広げられ、その後生地が適度に膨らんだ頃、小麦粉に含まれているグルテンが糊状に変化して固まりキャベツのような形ができあがります。

シュークリームがどうして生まれたのか、こんな逸話があります。
16世紀の始め頃、イタリアの大富豪の令嬢が、フランス王室に嫁ぎました。14歳になったばかりの姫君がさみしくないように、山のような花嫁道具と、お付きの者をたくさん従えてのお嫁入りです。その中に腕ききの菓子職人もいました。その菓子職人がルー状のものを半焼きにし、中身を取り出して詰め物をしたという記録があり、これがシュークリームのはじまりとされています。
「まぁ、なんて変な形のお菓子でしょう。・・・あら、おいしい!こんなおいしいお菓子ははじめてよ。」と、云ったかどうかは定かではありません。
フランスでは17世紀半ばには、ある程度形が出来上がり、シュー菓子という名称で新しいお菓子のジャンルとして定着しました。

日本にシュークリームが登場したのは幕末だと考えられています。
当時横浜にフランスの菓子職人サミュエル・ピエールが営む洋菓子店がありました。店頭にシュークリームがあったという記録はありませんが、祖国で人気のこのお菓子はメニューに入っていたと思われます。
宮中から派遣されてピエールの店で修業した菓子職人の村上光保が、のちに独立して開いた店では明治7年にシュークリームを売り出したという記録があります。
そして明治20年代には、シュークリームは日本人にすっかりお馴染みになり、ハイカラなお菓子の定番のひとつとなったのです
「シュークリーム」という名前は日本で生まれた造語です。明治時代には正しくフランス語で「シウ・アラケレーム」と呼ばれていたこともありました。それがいつからか、シューとクリームで「シュークリーム」と呼びやすい無国籍風の名前になりました。
英語ではクリーム・パフ。ドイツ語ではヴィンドボイテル。イタリア語ではビニエ。
どれもみな、ふんわりしたシューのイメージが名前になっています。

最後に、フランスのシュークリーム事情はというと、シュー生地のお菓子はたくさんあるけれど、キャベツ形のシュークリームを置いているケーキ屋さんは少ないのだそうです。
日本では100年以上変わらぬ人気のシュークリーム、興味のある方は下のレシピにチャレンジしてみてください。

参考文献
  • 「西洋菓子彷徨始末」朝文社
  • 「おいしいスイーツの事典」成美堂出版
  • 「フランス食の事典」白水社
  • 「不思議のフランス菓子」NTT出版

みつばち・てんとう虫・蝶のシュークリーム(昆虫シュー)

みつばち・てんとう虫・蝶のシュークリーム(昆虫シュー)

【材料】 約10個分

シュークリームキット 1箱(シュー生地ペースト125g)
卵(M) 1個
カスタードクリームミックス(別添) 1袋(65g)
牛乳 150cc


アイシング

粉砂糖 90g
大さじ1
食紅(赤、黄、青など) 各少量

作り方

1. 耐熱ボールにシュー生地を入れ、ラップをして電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する。

2. 木べらでよくほぐし、温かい内に溶いた卵を加えて、つやが出てしっかり粘り気が出るくらいまで(約3分)、混ぜ合わせる。

3. 絞袋に直径1.5cm位の丸口金をつけて(2)の生地を入れる。※少量別にし、絞袋に口金をつけずに直接入れ、先をハサミで切って、みつばちの羽の部分用に、細めに絞れるようにしておく。

4. みつばちは、3cm×5cm位の楕円系とハート形(羽の部分)に対になるよう2つ絞る。※焼き時間が違うので、天板が2枚あれば、別の天板に絞りましょう。無い場合は、先に羽の部分を焼き、取り出してから、残りの分を焼くと良いでしょう。

5. てんとう虫は、直径3cm位の丸形に絞る。

6. 蝶は、4cm長さの細めに1本絞ってから、先端に丸くひとつ絞り、両脇に(羽の部分)ハート形に絞る。

7. みつばちの羽の部分は、190度のオーブンで約5~7分焼く。

8. その他の部分は、190度のオーブンで約20~25分焼く。

9. カスタードクリームミックスに冷たい牛乳を加えて1分かき混ぜ、カスタードクリームを作る。ふるった粉砂糖に水を加えて混ぜ、アイシングを作り、小分けにしてお好みの色で着色し、何色か作っておく。※乾き易いので、使わない時間は必ずラップをかけておく。

10. みつばち、てんとう虫は厚みを横半分にカットし、アイシングでデコレーションする。乾いたらカスタードクリームを入れ、みつばちは、羽をカスタードクリームに刺し、上部を重ねる。蝶はお好みの色のアイシングでデコレーションする。

色々な虫の形にアレンジしたかわいらしいシュークリームです。アイシングは市販の食紅で様々な色のバリエーションが作れます。赤と青を混ぜれば紫に、黄色と赤を混ぜればオレンジ、など、絵の具の要領で色を組み合わせれば、何色にも作れますので、お好みの色合いでアレンジしてみて下さい。手間な場合は製菓材料のチョコペンなどで顔や模様を描いてもかわいらしく作れます。シュー生地は絞り袋に入れた方が、形は整いますが、丸や楕円形はスプーンですくって落としても作れます。絞る時の力の入れ加減で太めにも細めにも絞れますので、出来上がりの形のイメージを考慮して絞ってみて下さい。シュー生地は大きさが違うと、焼き時間が違います。焼いている途中でオーブンを開けると、シューがしぼんでしまいますので、天板2枚で同時に焼く場合は、焼き時間の短いものを手早く取り出しましょう。面倒でも、時間差でオーブンに入れる方が、きれいに膨らんだシューが焼けます。蝶にもカスタードクリームを入れても良いですが、細めに絞る分膨らみが弱いので、食べる時に残りのクリームをつけて頂くか、アイシングの甘みがついていますので、そのままでも美味しく頂けます。

岡嶋芳枝(オカジマ ヨシエ)

フードコーディネーター。
コルドンブルーに通いフランス菓子を学び、同時期に都内のパン教室でパン作りも学ぶ。
その後、料理研究家のアシスタントなどを経て独立。現在「Witch’s Kitchen」主宰。
自宅で開催する料理教室では誰にでも簡単に出来るアレンジ家庭料理を提案している。
その他、オリジナル菓子をインターネットの店舗に提供したり、カタログや広告媒体の料理製作、スタイリングなどにも携わっている。

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