坂本雄次の訪問!スポーツ人 vol.2 朝日健太郎さん

ビーチバレーへの転向

坂本雄次さんと朝日健太郎さん

坂本雄次 (以下坂本)  朝日さんが26歳の時、6人制バレーからビーチバレーに転向したんですよね。戸惑いはなかったのでしょうか。

朝日健太郎 (以下朝日)  今だから言えますが、ビーチバレーで成功したい、勝ちたいというのではなく、正直、6人制バレーで限界を感じていたんです。
25,6歳といえば体も一番元気なはずですが、そこは若気の至りというか、メンテナンスの部分もちょっとおろそかにしていたり、好き勝手無茶をしていたのでしょう。限界と言うか疲弊していましたね。

坂本  朝日さんのことはよく存じ上げていましたが、正直、ビーチバレーに転向したのは早いと思っていたんですよ。なんでビーチバレーなの? と驚いてしまいました。

朝日  確かに、当時よくそう言われました。代表チームでも、中心的な役割を担う年代に移行する時でしたから。
僕自身は、中学からバレーボールに携わってきて、高校、大学、実業団、代表チームと順調に上がってきたのですが、一番高いオリンピックというステージには届かなかったんです。オリンピックがダメになった時、ふと自分を振り返ると、もう本当にくたくたになっていて、次の目標が何も見当たりませんでした。

坂本  それは、結構きついですね。

朝日  その後1年くらいグレーな感じで競技をしていて…。 マイクを向けられれば「任せてください。次の代表勝ちます!」などと強気な発言をしつつも、部屋に帰ればどんよりと落ち込んで、「これじゃあいかんな」と思っていました。
引退を考えたこともありましたが、ちょうどその頃ビーチバレーを知ったんです。日本ではまだ知られていないけれど、オリンピック競技だし、今、自分が鳴り物入りで始めればちょっとは話題になるかな、とは思いました。実際は、話題というか、驚かれたほうが多かったですけどね。(笑)

坂本  私は、ビーチバレーというと、昔見た洋画のイメージで、海辺でのボール遊びという印象だったんです。

朝日  そうですよね。燦々と輝く太陽の下でトム・クルーズが裸でバレーボールをやっていた、映画「トップガン」のイメージですよね。

坂本  そう、そう。

朝日  まあ、トム・クルーズはへたですけどね。(笑)

坂本  でも、それが競技に進化していくというのはいつ頃でしたか。

朝日  やはり、96年のアトランタ五輪から正式種目になりましたので、そこが世界的に認められる節目になったと思います。そう考えればいろいろな競技の中で比較的歴史は浅いほうだと思います。

坂本  同じバレーボールとはいえ、チームメイトの数も違う、コートも違うビーチバレーに転向した当時は、大変だったでしょう?

朝日  やはり最初は鳴かず飛ばずでなかなか大変でした。代表チームに選出されるまで、3,4年かかりました。

坂本  でもその後、2008年には北京オリンピック出場し、9位という結果を出しましたものね。日本のビーチバレー史上では初めてのことです。すばらしいです。

バレーとビーチバレーの違い

コートによって砂が違う?!

朝日健太郎さん

坂本  体育館の床の上と砂の上では、自分の体の動かし方など違いがあるでしょうね。

朝日  砂の上で競技をやるようになって、筋肉の付け方、パワーの出力の仕方、関節の使い方などが砂にフィットするまでに、5年かかりました。
例えば、同じジャンプでも、体育館の床と砂の上とでは、ある意味、陸と水中ぐらい違うかもしれません。そのくらい体の使い方が違いますね。 ですから今、体育館でバレーボールをやってくれと言われても無理ですね。1回本気でジャンプをしたら、関節が壊れるのではないかという恐怖心があります。ママさんバレーや、子ども達と体育館でバレーボールをやることがありますけれども、30%ぐらいしか飛ばないように気をつけています。ビーチバレーを引退したら、どのくらい飛べるか1回本気で飛んでみようかなとは思っていますけど。(笑)

坂本  私たちは走るトレーニングで、アスファルトだけではなくて、砂浜を走ったり山を走ったりもします。特に砂を走った後にアスファルトのところに戻ってくると、ガラッと変わります。

朝日  そうでしょう? 僕も昔は、練習が終わってからアスファルトに立つと、体がフワッと浮いたような感覚によくなりました。

坂本  もうビーチバレーを始めてかなり時間が経っているから、今はもう、自分のイメージどおりのプレーができるのでしょう?

朝日  いや、場所によって砂が違いますから、コートの砂の質でまず体の使い方を微調整しなければいけないんです。頭で考えても間に合わないですね。難しい砂のコートだと、体が慣れるのに1~2時間かかります。それを短い時間で対応できる選手は、やっぱり優秀な選手です。
専門的な話になってしまいますが、砂の粒子の大きさ、形状、大きさのバランスによって、湿気が溜まりやすいとか、固まりやすいというような、いろいろな性質が出てくるんです。だから、「今日のコートは難しいな」と思えばちょっと多めに時間を取って、体にフィットさせるんです。

坂本  砂によって相当違うものなのですね。

世界と戦うために

坂本  世界を相手にすると、外国人の方がガタイは大きいし、テクニックをパワーで凌駕されてしまうようなところがあります。バレーボールの世界でも体格や体力が結果を左右してしまうようなことはありませんか?

朝日  あまり言いたくないから言わないだけで、パワー論で言うと、絶対的な力の差はもう明らかです。やっぱり手に負えないですよ。その中でどう勝負をしていこうかなというのは常に考えていますよね。

坂本  クイックとか時間差は、外国のチームはそんなにやっていなかったような印象があります。

朝日  そうですね。当時は翻弄されたと思います。

坂本  そういう意味では、日本は、パワーをうまくそらして、かいくぐって相手に突っ込んでいくというやり方をたぶんやっていました。

朝日  そうですね。パワー不足を補うためにも、緻密さや正確性、スピードというところにどうしても着眼してしまいますよね。そうしてどうにか勝負をしようとしますが、そこを追求していくと非常に難しいですよね。やはりパワーのほうが単純明快で、どちらかというと成長が早いんですよね。そこでまた少しずつ差が出てきてしまうんです。
例えば野球で、日本人が150キロをビュンビュン投げられないのと一緒です。だったらコントロールを磨こうと言っても、コントロールのアベレージを上げるのって実は非常に難しいんです。
ですから、どんな競技の選手でも、パワーに寄るのか、逆にパワーはあまり考えずに正確性、緻密さを重視するのか、その間でいつも揺れていると思います。

コンビの関係性

坂本  チームはたった2人だから、戦術がすごく重要になりますね。

朝日  6人制のバレーでは、コートの中に選手6人、監督、コーチ、そして控えの選手がいてという総合力で闘いますけれども、ビーチバレーはそれを全部2人きりでやるという、凝縮した感じですよね。戦略も立てつつ、自分でボールを打たなければいけない。選手交代がないので、タイムアウトも自分たちでやります。そういった面では、体のしんどさというよりも頭のしんどさが最初に強烈でした。

坂本  そういうことですよね。6人制のチームだと監督がいろいろと考えてくれて、キャプテンが指示をしてくれて、セッターが「お前、次、これを打て」みたいなのがありますものね。

朝日  言われたことを「はい」って言って全うしていけば、チームの一員としてはいいですけれども、ことビーチバレーとなると、次に何を打とうか、次に相手はどういうふうに責めてくるか、走り回ったり飛び跳ねたりしながら状況を把握しなければいけません。

坂本  今は、コンビを組んでらっしゃるのは白鳥勝浩選手。たった2人でやるゲームですから、コンビネーションとか呼吸、性格、いろいろなものがあるでしょう?

朝日  嫁さんより長い時間一緒にいるので。(笑) 普段はあまり口をきかないですよ。というと極端ですが、そんなににこやかにはやらないですね。かといってビジネスライクにお付合いするだけではやっぱり勝てないし、逆に、仲が良すぎてもいいのかどうか…。

坂本  結構難しいんですね。

朝日  ですから、パートナーとどのような絆を築くのか、その答えは辞めても出ないと思います。

坂本  白鳥選手の方が1つ年下ですよね。

朝日  はい。同い年のチームもあれば、年が離れているチームもあるし、いろいろです。 歳は1つ下ですが、技術力は彼のほうが数倍上です。ミスして「ごめん」と言う回数は、僕のほうが多いですから。(笑) 年下だから言わないけど、たぶん内心で「しっかりしてくださいよ」と思っていますよ。

坂本  どちらかといえば朝日さんはパワー系で、彼は技術系ですよね。バランスいいじゃないですか。

ビーチバレーの魅力

坂本雄次さん

坂本  ビーチバレーって観客が近いですよね。やるほうも見るほうも、6人制の場合とは違った感覚なのですか?

朝日  やはり、僕らの話し声がお客さんに聞こえていると思います。だから言葉を選びますよね。余裕があると、喜んでもらうようなことも言ってみたりしますよ。

坂本  例えば?

朝日  「次決めたらビール飲みに行こうぜ!」とか。(笑) 

坂本  確かにスポーツって、競技としてシリアスにやる部分もありますが、もともとは、楽しむものですからね。

朝日  はい。お客さんにも楽しんでもらいたいんですよ。 コートでは常に音楽がかかっているし、お酒を飲みながら見てもらったり、「襟付きの服なんて着てこないで、水着で見ていいよ」というような、そんな雰囲気ですね。

坂本  そうですね。(笑)

朝日  ビーチバレーに飛び込んでみたら、「あら、こんな自由な世界があるの」と自分自身も驚きましたね。ビーチバレーという開放的な競技を選んだことで性格も大きく変わりました。

おとなしかった子ども時代

坂本  ビーチバレーを始めて性格が変わったと言いましたが、どんなお子さんだったのですか?

朝日  子どもの頃から背は高かったのですが、決して体育が得意な、元気ハツラツな子ではなかったんです。
両親から「子供は外で遊んできなさい」と強制されることもなかったですし、逆に「怪我しないように気をつけなさいよ」と言われて育ちましたから、小さい時に木から落ちて大けがをしたとか、そういう痛々しい記憶がほとんどないです。
小学校の時はサッカー部だったんですが、すりむいたり、泥だらけになったりするのがイヤで…。 どちらかというと、家でプラモデルを作っているほうが好きな子どもでした。

坂本  小学生の時の身長は?

朝日  小学6年生の時で174cmくらいでしょうか。

坂本  170cm超えてランドセルというのは、結構つらいものがありますね。

朝日  あの束縛感はなかなか味わえませんよ。(笑)
体が大きかったので、中学入学当時は、柔道だ、武道だ、野球部だ、本当にいろいろな部活の先生に誘われました。

坂本  逸材ですものね。中学でバレー部を選んだのは何故?

朝日  運動場で走り回って泥だらけになるはイヤだから、体育館のスポーツのほうがいいなと…。 体育館を使うのはバレーボール部とバスケット部ですが、バスケは丸刈りだったので、髪型が自由だったバレー部を選んだという…。(笑)

坂本  まさかそんな理由とは!(笑) 汚れるのがイヤでバレー部に入ったのに、今や、汗をかいて砂まみれになってやってらっしゃるじゃないですか。

朝日  ビーチバレーという開放的な雰囲気の中で、性格がずいぶん変わりました。
6人制バレーをやっていた時は、洗濯もこまめにして、ハンカチ一枚でもピシッと畳んでいるくらい几帳面だったんです。でも、今は汚れても気にならなくなりましたし、洗う暇が無い時はパンツも履かない、というくらいです。(笑)

トレーニング

朝日健太郎さん

坂本  ビーチバレーのトレーニングって、普段はどういうことをやるのですか。

朝日  普段は、監督とコーチがいますので技術練習が大半で、あとはウエートトレーニングと、フィジカルトレーニング。大きい筋肉を動かすウエートトレーニングは欠かしません。ウエートトレーニングで、重たい物を持つ、上げる、これは、僕の闘争心に直結しているところです。
僕は、バランスとか体の機能性を上げるだけのトレーニングでは相手に勝てないと思っています。やっぱり重たい物を歯を食いしばって上げて、パワーを出すことで、「よし、やってやろう!」と燃えてきます。自分をきれいに整えて準備していくことより、まずは「対戦相手に勝つ」という気合いが大切なので。状態が悪くても、勝ってしまえばそれが成果ですから。

坂本  ウエートトレーニングでは、どのくらいの重さを持つのですか?

朝日  200kgぐらいまで持てますよ。ただ、200kgだと関節の負担が大きくて、膝の痛みが出たりしたので、今は、160kgを使っています。200kg持てる中で160kgというと、80%くらいの負荷ですよね。160kgを持って、10回のスクワットを行っています。

坂本  私は、スクワットは回数をこなすものだと思っていました。

朝日  それは人それぞれですね。もっと軽い物を使って、ちょっとした複合的な動きを入れてトレーニングする選手もいますし。

坂本  高重量にするのは、瞬発系の筋肉を強くするためですか?

朝日  スクワットの沈み込む深さとジャンプ力は比例しているというデータがあるんですよ。 まあ、僕はずっと昔から気づいていましたけどね。(笑) やっとデータで出てきたか、と。
「ジャンプする」という体の使い方やエネルギーの出し方は、前に進んだり、下がったり、横に動いたりする動きを全て凌駕するんです。ですから、ジャンプ力のある選手は比較的何をやらせても体の使い方が上手です。

坂本  確かに。私がランニングを始めた頃に、チームの中に1人、万能な子がいましたが、その子はバレーがうまくて、ものすごいジャンプ力がありました。 トレーニングは、時間的にはどのぐらいやっているのですか。

朝日  1日に3時間くらいですね。合宿中は、2時間~2時間半を1日2回です。 プラス、週に2~3回のウエートトレーニングを行っています。

食事について

神経質にならずに食べることを楽しむ

朝日健太郎さん

坂本  基礎代謝に加え、トレーニングで4,000kcall近く消耗するわけだから、1日の摂取カロリーというのはかなりなものですよね。一度に4,000kcalなかなか摂れないでしょう?

朝日  この年齢になるとだいぶ代謝も落ちてきているので、今は、4,000kcalは摂っていないです。 カロリーで言えば、ちょくちょく間食はしますね。
食事に関してはあまり神経質にならないようにしていますが、カロリーはだいたい分かって食べています。うちは母親が栄養士だったので、食卓を囲みながら、自然と身についたのかもしれません。
僕は、体重や体脂肪のコントロールをするのは得意ですよ。でも、ビーチバレーを始めたばかりの頃は、すごく汗もかくし疲労も感じるから、試合前1週間から炭水化物や消化のことを気にしながら、食をコントロールしようとしていました。でも、続かないですね。(笑)

坂本  そう、続かない。もうちょっとつかみ方を大くくりにすれば楽なのに、日本人って意外と理屈から入るところがあるから。私はもともと、減量のためにランニングを始めたものですから「水を一杯飲んでも太っちゃうのではないか」という脅迫観念があり、食事も制限をしました。だけど、ある程度体ができてきて走ることが苦にならなくなってくると、「別に何を食べたっていい」と思えるようになりました。そのほうが長く続くような気がしますね。

朝日  マラソン選手は、大会当日にピークを持ってこなければいけないじゃないですか。そうすると、その1日に100%出すために食事にも神経を使うと思いますが、僕たちの場合、7~8カ月間のシーズンを毎週単位で闘っていくので、ピーキングの持って行き方が7カ月間なのです。ですから、ピンポイントに100%出すことよりも、80%を7ヶ月キープし続けることの方が重要なのです。

坂本  ずっと突き詰めていたら、7ヶ月間もたないですものね。

朝日  あまりストレスをかけないためにも、食べる楽しみを欠くことはどうしてもできないですね。だから減量がない競技で良かったなと思います。お酒を飲むこともありますし、時にはタンパク質を異様に食べてみたり、胃腸に優しい物を食べてみたり…、いろいろやっています。(笑)

坂本  それは感覚ですか?

朝日  感覚…、そうですね。自分のバイオリズムが食に反映されると言うのか、体が欲するものを自然に選び取っているような気がします。

坂本  それは、意外と、すごく正確だと思いますよ。やっぱり無理やり理屈に自分の体をあてはめるということよりも、例えば甘い物が欲しいとか脂っこいものが欲しいとか、体の要求を感じることは必要。変な話ですが猫だっておなかの調子が悪いと草を食べているじゃないですか。食のトレーニングを繰り返しやってきた中で、しっかりと基本は掴んでらっしゃるのだと思います。
そんな朝日さんに質問、ですが、「気合い飯」というか、朝日さんにとっての「スーパーフーズ」はありますか?

朝日  みんなそれぞれあると思いますけれども、僕は特に決めていないです。何でもいける、雑食ですね。

坂本  雑食が一番強いですよ。

栄養バランスは1週間単位で調整

坂本  海外遠征の時の食事管理はどうしていますか?

朝日  試合で会場に詰めていると、まともなものは意外と食べられないですよ。日本のようにどこにでもコンビニがあるわけではないですし、レストランが早い時間に閉まってしまう場所もありますから、結果、コーチが買ってきたマクドナルドのハンバーガーを食べていることも…。
でも、1日単位で考えると栄養バランスが偏っていることにストレスを感じますから、1週間単位で考えるようにしています。1日では無理でも、1週間単位で全体のバランスを取るのを心がけます。 炭水化物でエネルギーを貯え、タンパク質は少なくとも体重×2(g)は摂るようにしています。今体重が94kgなので、200gくらいはタンパク質を摂るようにしていますね。また、海外へ行くとどうしても脂肪もつくので、1週間で足し算、引き算をしながら調整します。
あとは、母親の教えで、色のある野菜をよく食べるようにしています。ただ、海外に行くとなかなか十分には摂れないので、サプリメントで補うこともあります。

今後の夢

坂本雄次さんと朝日健太郎さん

坂本  中学からバレーボール、ビーチバレーと続けてこられたわけですが、自分の人生にとって、どんな意味を持っていくと思いますか?

朝日  ここ2、3年、そのことをよく考えるようになりましたね。家族を持ったことも一つの転機かもしれませんが、競技のことだけを考えていた頃より、スポーツの本来の良さというものをわかってきたような気がしているんです。僕の仲間達も、引退後はスポーツから学び経験できたことを社会に還元しよう活動しています。僕もどんなふうに関わっていこうか、考えているところです。自分が「選手」であること、もうひとつ、小さい子どもを持つ「パパ」という、2重のフィルターで物事を見ている最中です。
最近思うのは、やはり子どもに関することでしょうか。子どもの絶対数が減ったことによって、競技人口が減り、レベルが低下し、スポーツの力が全体にすごく低迷していると感じます。そこをどうしていったらいいのか、僕にできることは何なのか、考えていきたい。

坂本  日本は、活躍したスポーツ選手のセカンドキャリアのフィールドが貧しいでしょう?

朝日  確かにそう思います。でも、僕は競技を引退してからの仕事はつくるものだと思っていますから、既存のものにはたぶん入っていかないかな。勝手な自信なのですが、僕はたぶん自分で何かを生み出しますよ。

坂本  朝日さんなら十分にできると思います。
私は、前職は電力会社で、オームの法則ばかりやっていたんですよ。そこを辞職したのは、自分が続けてきたランニングをもっと皆さんにも楽しんでもらえるフィールド作りをしたいと思ったからで、今は「湘南国際マラソン」をはじめ、全国で市民マラソン大会を開催しています。誰かが舞台を用意すれば、表現者はいるわけですから。

朝日  ランニングプロデューサーですね。

坂本  ランニングを楽しむ環境を整える”ということが生業として成り立つわけですから、朝日さんもこれから試行錯誤しながら、自分で仕事をつくっていくのでしょうね。非常に感動しました。

オリンピックに向けて

坂本雄次さんと朝日健太郎さん

坂本  オリンピックの出場チームの数は決まっているのですか。

朝日  24チームです。
6月1日時点で、世界ランキング16位はオリンピック出場が決定します。僕たちは、ここに入るのは、さすがに難しいので、アジア枠を取りにいきます。

坂本  アジアでは、日本以外でビーチバレーを結構力を入れてやっている国はあるのですか。

朝日  ライバルチームとしては中国、オーストラリア、ニュージーランド、イランです。イランもアジア枠で、去年は調子が良かったですね。アジアサーキットで、イランが2回ぐらい優勝していました。

坂本  中東までアジア枠なのですか?

朝日  オリンピックの場合5大陸なので、オセアニアと中東まではアジア枠に入ります。 このアジア枠から、1チームだけ出場できるんです。

坂本  1チーム?! それはきついですね。

朝日  きついとは言いたくないですけれども…、結構きついです。

坂本  だって、国の数がすごいじゃないですか!

朝日  オセアニアと中東とアジアで一個のブロックになっていて、それ以外は、ヨーロッパとアフリカ、北中米と南米。南米はブラジル、アルゼンチン、チリ…、国の数で言うと少ないですね。

坂本  そう考えると、国の数がアンバランスですよね。

朝日  6月上旬に中国でアジア予選があります。今、それが最大の目標ですね。

坂本  自信のほどは?

朝日  可能性的には高くも低くもない…。なんともいいがたいですね。

坂本  似たレベルが結構いるということですね。

朝日  はい。すごく厳しい争いだと思っています。
アジア枠が取れればそこで出場が決まりますが、もれれば、6月末にイタリアで最終戦があります。 でも、アジア予選でぼろ負けしてしまうと、イタリアには行けませんね。

坂本  決定するのが早くて6月上旬、遅くて6月末ですか。本番は7月の後半からですから、結構時間がないですね。

朝日  ラストスパートです。 準備は1年ぐらい前からしてきていますが、具体的に目標が見えてくると、人はこうも前向きになるのか、と久々に思いました。「いよいよだな」と目が覚めるような感じ。この感覚がいいですね。

坂本  朗報を期待しています。

朝日  もちろんです! ロンドンオリンピックのビーチバレーはバッキンガム宮殿の前でやりますので、「みなさん、そこでイングリッシュティーを飲みましょう!」が今の決まり文句です。

坂本  応援しています。

朝日  よろしくお願いいたします。

「運動」と「食」について

こばたてるみ

公認スポーツ栄養士 管理栄養士・健康運動指導士
株式会社しょくスポーツ代表 こばた てるみ

3年間の銀行勤務後、スポーツ栄養の世界へ。日本初の公認スポーツ栄養士16名のうちの1人。現在、栄養サポートを行っている「清水エスパルス」をはじめ、競泳オリンピックメダリストやプロ野球、箱根駅伝選手など数多くのサポートを手がける。また、ビジネスマンやOLの方向けのヘルシー&ビューティーレシピの提案や、10日で3万食完売したスポーツ弁当をはじめ様々な商品開発、料理番組出演など幅広い活動を行っている。地域食材を使った料理と共にお酒を楽しむため、テニス、ゴルフ、ランニングで汗を流している。

世界を転戦する選手のスーパーフーズは“雑食”

「スーパーフーズは雑食!」とおっしゃる朝日さん。それは7~8カ月もの間、世界を転戦しながら毎週試合をするビーチバレーボール選手にとって、非常に“強み”といえるでしょう。もう一つの強みは、栄養士だったお母様から学んだ料理のチョイス術。細かな知識ではなく、体験的に(胃袋で)覚えていることで、初めての食材に直面しても、普段通りの食事ができなくても臨機応変に対応できているようです。
砂のコートでたった二人の選手がレシーブ、トス、スパイクとつなぐビーチバレーでは、瞬発力とジャンプ力、一試合戦い続ける持久力が必要です。中でも、ブロックや鋭いスパイクに不可欠なジャンプ力を維持・向上させるためには、余分な重り(体脂肪)をつけずに筋力をつけていくこと。
そのためには、筋肉の主材料であるたんぱく質を十分にとりつつ(199cm、94kgの朝日さん場合には約200g/日)も、脂肪の過剰摂取に注意を払うことが大切です。 具体的には、お肉や魚、卵、豆類、乳製品といったたんぱく質豊富な食材を毎食数種類ずつとりつつ、揚げ物や炒め物など油を使った調理法ばかりに偏らない、バターや油を含んだ調味料の使い過ぎに注意するとよいでしょう。
世界の食を楽しみながらトレーニングに励み、ぜひ、ロンドンオリンピック出場を目指してがんばってください!

とろ~り卵のボロネーゼ

大きなカラダで高くジャンプをするビーチバレーボール選手には、筋肉の主材料であるたんぱく質が一皿に複数入った料理がオススメです。

<とろ~り卵のボロネーゼ>

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坂本雄次プロフィール

坂本雄次さん

1947年神奈川県生まれ。
自身のダイエットのため始めたランニングをきっかけに、当時在籍していた東京電力で陸上部の監督を15年務め、素人の中からフルマラソンを2時間30分で走るランナーを数多く育成する。
1993年にマラソンの各種大会を企画運営する会社「株式会社ランナーズ・ウエルネス」を設立。
日本テレビ 24時間テレビ の「24時間マラソン」、「湘南国際マラソン」などの立ち上げに尽力。間寛平さんのアースマラソンのアドバイザーとしても完走をサポート。

AIMS公認距離測定員
国際スパルタスロン協会日本支部代表
一般社団法人日本ウルトラランナーズ協会(JUA)理事

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