坂本雄次の訪問!ウエルネス人 vol.3 服部幸應さん

服部幸應

1 東日本大震災が起こって・・・

坂本雄次さんと服部幸應さん

坂本雄次 (以下坂本)
東日本大震災からはや3ヶ月、世の中ではいろんな動きや意見があります。改めて服部先生、この震災と今の日本の姿ということで、お持ちになっている感想があったら伺いたいと思っています。

3月11日の震災の時、先生はどちらにいらっしゃいましたか。

服部幸應 (以下 服部)
僕は高田馬場で講演をやっている最中だったんです。ビルの最上階で三方がガラスだったんですが、新しいビルなのに壁にひびがピピピッと入ったんです。これは大変だと思いました。電車も止まってしまい、6台か7台目のバスにやっと乗れて、2時間半かけて学園に帰って来ました。
感想としては、震災後、多くの国が被災者を助けてくれました。フランスやアメリカなどは救援物資の用意や人材派遣を迅速に行い、さまざまな国から義援金とメッセージが集まりました。フランス大使、アメリカ大使と震災後に話しをしましたが、日本への支援を約束してくださり、アドバイスもいただきました。各国に心より感謝を申し上げます。

坂本  今回の震災が1つの引き金となって、本気になって自分たちのこれから30年、50年後の国のあるべき姿というものを考えて、自覚をしてやっていかなければいけないですね。

震災で生まれた家族の会話

服部  震災後、被災された方々が津波から逃れて体育館等に集まっておられましたね。そこへテレビが入って、マイクを向けた時に答えたことが、僕はすごく印象的なんです。
「家族が一緒に食事をしたのは久しぶりです。」 「こんなに家族と話をしたことはありませんでした。」 「家族間の支え合いみたいのを初めてここで体験しました。」と言われたのです。

坂本  家族同士で話し合うということ、つまりそれまではそんなことすら生活の中になくて、今回のような出来事があって初めて体験した。

服部  これまでずっと、家族が一緒に食卓を囲む大切さを「食育」の中で言い続けてきましたけれど、こういうことがないとわかってもらえないのかなというふうにすごく感じたんです。つらかったですね。

2 「食育」について

坂本雄次さん

坂本  服部先生の「食育」の理念についておうかがいできますか。

服部  食育というのは3つの柱でできています。
1つ目の柱は、どんなものを食べたら安全か危険か、健康になれるか、それを選ぶ能力、「選食能力」といいます。
2つ目が「食卓」。食卓は、親から子へ、“衣食住の伝承を行う場”なのです。 我々は、食卓で、家族が一緒に食べる「共食」を通して覚えてきたことがたくさんあるわけです。 一人で食事をする「孤食」などで相手を考えずに勝手に食べていると、ワガママになる生活をしている若者が増えてしまったのが問題なのです。それを大人が許してしまった問題、それが「食卓」にあるんじゃないかと僕は思っているんです。
3つ目が「環境問題と食料問題」です。 今、日本の食料自給率が何%ありますかと、手を挙げてくださいと言うと、せいぜい100人に1人挙がるか挙がらないか、それもいいかげんに覚えている人が多いです。 毎年8月15日の終戦記念日に、必ず新聞紙上で前年の食料自給率が発表されているのですが、それも知らないし、見ることもしない人が余りに多すぎます。もし、ガス・電気そして水が出なくなったり、食料がなくなった時どうするか?を日頃から知ることが大切だったんですが。

坂本  日本というのは、物事を先へ先へと見続けてきたために、目の前のことを押さえていないのでしょうね。

服部  そうですね。そう言う意味では、「食育」というのは、食べ物を通じて、身近なものを見る目を養おうということなんです。僕は、「現代人が失った今の日本」というテーマで、ずっと「食育」の講演をしてきました。

食卓で学ぶ「躾」

坂本  先程、食卓における衣食住の伝承が途切れたというお話がありましたけれども、昔は、ちゃぶ台があって、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、兄弟が一緒に食事をしていましたね。

服部  そうそう。「おい、座り方悪いぞ」と言われてゴツン。「その箸の持ち方は何だ」「いただきますと言いなさい」「なぜニンジンを残すんだ」と色々叱られました(笑)。 箸の上げ下げから始まって全部注意されました。 ところが今の子は親に「何やってるんだ!」というのを言われてないから緊張なんかはしませんね。人の話を聞く時にほおづえついたり、そっくり返って座っていたり・・・。そういう子は随分多いです。 「食育って何なのか、一言で言って下さい」とよく皆さんから言われます。 一言では言えば、家庭で食卓を囲むことから学ぶ躾(しつけ)ではないかな、と。先程言った3つの柱の中で最も問題なのは、食卓で共食できなくなったことだろうと思います。

「人間づくり」は、8歳までに!

服部幸應さん

服部  我々の年代というのは、朝と夜、合わせて年間900回ぐらい家族一緒に食事をし、190回は「給食」でした。今はどのくらいかというと、「給食」はやはり変わらず190回ですが、「共食」回数は、年間300回になってしまいました。 子供が3 歳~8 歳までに、食卓でマナーを教えることが、一般常識につながるのです。もともと動物脳で本能をつかさどっている小脳が確立するのは8歳ですから、その時までに教わっていないと人間は全くめちゃくちゃになってしまう。

坂本  3歳~8歳の6年間の食卓が特に重要なんですね。6年間に換算すると、昔と比べ、家族で食事をするのが3600回少なくなっています。親から作法を注意されたりする場が3,600回足りないのだから、それでは一般常識の無い人が増えるのは当たり前ですね。

服部  そう。だって、昔は幼稚園がない、小学校、中学校、高校、大学がない。寺子屋というのが出来始めたのだってここ400年です。じゃあ寺子屋がなかった時はどうしていたか。 お百姓さんの家、武家の家、商人の家、どこも食事をする時には親御さんが子供の目の前にいて「ちゃんと座れ」としつけていたんです。そうやって育ったから、そろそろ世間に出してもいいかなという年頃には、少なくても常識はできていたんです。

坂本  子供が9歳以上の場合はどうしたらいいんでしょう?

服部  突き放すのは気の毒ですけれども・・・、あきらめてください、もう無理です。

坂本  手遅れですか。(笑)

服部  まあ、今までの10倍以上手を掛けるつもりでおやりになったらどうですか、と。 だって親と一緒に食べるのは当たり前のことじゃないですか。それが当たり前じゃない状況が生まれているのに、「世の中は変わったのに、無理を言っている。おかしい」と言われるわけ。 学者の人は「仕事をしたい女性も増えたし、そんな固いこと言っちゃ駄目だよ」っていうのね。 別に僕は、女性だから子育てに専従しろなんて言ってません。でも、人間としては平等でも、性差はある。だから、そこをちゃんとわきまえて物事というのは組立てていかなきゃいけないし、会社もそれを分かって対応しなきゃ、はっきり言ってこれでは人間らしく生きることは出来ないです。

坂本  なるほど。先生がその「食育」を通じて言ってらっしゃることというのは、結局、「人間づくり」のことなんですね。

3 どうする? 日本の食料自給率

日本は食料を買えなくなる

服部  この前、アメリカ大使館に呼ばれて、「日本の政府に全然危機感がない、どうなっているんだ」と言われました。 今、日本の食料自給率は、カロリーベースで40%(平成21年度)。ということは、輸入の食材が60%ということなのです。そのうちの6割は、アメリカからです。 我々は毎年、自給率を1%ずつ上げようという計画できました。ところが41%まで行ったんだけれど、また40%に戻っちゃったんです。 つまり、アメリカは、今後日本にどのくらい食料をあげるべきか、ということに非常に苦慮しているということなのです。

坂本  今、BRICs(ブラジル、ロシア、 インド、中国)の国々が非常にお金持ちになり、いい暮らしになってきて、食料をアメリカからも輸入するようになってきていますからね。

服部  3年前に「食料サミット」がローマで開かれた時に147カ国が集まって日本も出ました。最終決定からいうと、8カ国の国が「もう日本には輸出できない」と言ってきました。国の人口が増えていているので、自国民を養わなければいけないから日本に売るわけにはいかないというわけです。この3年間で、それが25カ国ぐらいになっています。

坂本  25カ国は日本に食料を輸出しない、ということはこれから買いたくても買えない事態が生まれるわけですね。

服部  今回、震災で被害を受けた三陸は、世界三大漁場の1つなのです。回遊魚の捕獲率というのがだいたい15%、そして養殖魚が21%、食品加工に回している魚介、かまぼことかフカひれ、こういうものが31%。それだけの漁獲が減るわけですから、はっきり言って、日本は自給率30%を切ると思います(平成23年度予想)。こんな状況の中で、今のところ誰も何も言っていませんが、少なくとも1年後、2年後に大騒ぎになると思います。

坂本  アメリカはもうそれを先に読んでいて、「どうするんだ」と言って心配してくれているんですね。

持続可能な社会の為に

坂本  地域を中心に形付けられる食環境、「フードマイレージ」についてお聞かせ下さい。

服部  「フードマイレージ」とは、食べ物が運ばれてきた距離のこと。その時に出るCO2を測って、食べることとCO2が出ることを関連づけています。結局0メートルというのが一番いいんです。地産地消は0メートルですよ。やっぱり距離があればあるほど、それだけ世の中にCO2をばらまく機会が多くなるわけですから。 要は、サスティナビリティー(持続可能性)です。地球と長く生きていこうということだと思います。

4 長生きの秘訣は「達成感」にあり

坂本雄次さんと服部幸應さん

坂本  先生は日常、健康に関して、何か気をつけてやってらっしゃることなどはありますか。

服部  実はあまり寝る時間がないんです。今はなるべく5時間近く取ろうとしていますが、3時間で通していた時もあります。

坂本  それは少ないですね。

服部  時間が足りなくてしょうがないんです。講演もありますし、普段は学校もありますから、休日は3年に2日ぐらいです。

坂本  「食育」、つまり「健康」のイメージの強い服部先生が、実は寝る時間が極端になくて、お休みも取れないとは…。ちょっとビックリですね。(笑)

服部  いやあ、そんなことないですよ。今年100歳になられる日野原重明先生(聖路加病院 理事長)に「僕は3時間ぐらいしか寝てないんですけど…」と言ったら、先生も4時間くらいしか寝てないそうで…。(笑)
ある時、日野原先生が、夜勤をしていたドクターが歩いてくるのを指さして、「君、ああいう人たちは長生きできんからね」と言うわけです。「先生、やっぱり寝る時間が少ないとダメなんですね」と言ったら、先生に「要は達成感だよ、君」と言われたの。何時までやりなさいと言われて義務感でやっている人というのは長生きできないそうです。

坂本  なるほどね、それはすごく精神的には分かるような気がしますね。
仕事が忙しくて、やることが多くて時間が足りなくても、義務感で何かやっているのではなくて、
自分が能動的に取り組んでいることなら頑張れるということですね。
服部先生ご自身は、「食べ物」のことで何か気をつけていることはありますか?

服部  昔はあらゆるものを食べなきゃいけないと自分に押しつけていましたけど、今はかなり選んでいますね。必然的に身体にいいものを選んで食べるようにしています。今は何でもかんでも、いろんな調味料で味付けしてるでしょう? その味に慣らされていて、平気でおいしいと言うんですね。みんな舌がおかしくなっているんじゃないか。
坂本さんや私の幼少期は、自然のものって食べてほっとするものとか、手を加えないものってすごくあったじゃないですか。ところが、今は何でも味付けのものばかり。 

坂本  昔は味付けでもせいぜい塩と醤油と味噌ぐらいでしたよね、あとはダシ。

服部  そうそう、最近は子供たちに化学調味料を外して食べさせると、最初はおいしくなさそうに「うーん・・・・・」なんて言ってるんだけど、そのうち、化学調味料が入っている物がわかるようになってきて、入っている物はやっぱりおいしくないと言うようになります。僕はそういう人を増やしたいんです。

坂本  食材本来の味、旬の味がわかる人を増やしたい、それは生活の中で最も身近な「家庭」の1日三度の食卓、そしてその「家庭」を取り囲む「地域」にあるということですね。よくわかりました。
ありがとうございました。

栄養のプロがチェック!

監修:小島美和子
管理栄養士
有限会社クオリティライフサービス代表取締役

食を通じた親子のコミュニケーションを!

 服部先生のインタビューのなかにでてきた「食育」とは、机に座って学習するものではなく、体験の中で学ぶものです。食卓の会話の中で、自然と学べるのが一番よいことです。このお魚はどこでとれたか?「ご飯はしっかり噛むと甘くなるのはなぜ?」とか、「旬の野菜は味が濃いね~」など、食卓にならぶ料理を通して、家族で会話することを心がけてみましょう。
  できれば、親子で週に1度は一緒に料理をしてみましょう。さらに食卓での会話が増えます。お子さんと一緒にメニューを決めて買い物に行くところからはじめましょう。売場では、産地を見て「○○県ってどこ?できるだけ、近いところでとれたものを買おう!」と話したり、旬の野菜や果物の香りを嗅ぐのもよい体験です。お魚売場では切身だけでなく、一匹売りの魚も見せて、どこでどんな魚がとれるのか、見るのもよいでしょう。食材を見ていると、食卓に上がったときの興味が違います。「あのお魚が、焼くとこんな色になるんだ~」というように、会話も広がります。難しい料理をつくる必要はありません。簡単なものでいいので、一緒に作って食べる体験をさせてあげて下さい。

  たとえば、子どもたちの大好きな、おやつづくりなどもよですね。日本製粉には、親子クッキングにおすすめの簡単キットが揃っています。「ミックス粉シリーズ」を使えば簡単に美味しいおやつの出来上がり!手間をかけずに楽しい食体験ができるので、おすすめです。まずはホットケーキや蒸しパンから。クレープにすると、フルーツやクリームなどのトッピングも楽しめます。更に、シュークリームキットでちょっと上級のおやつにチャレンジするのもいいですね。

バナナパンケーキ

ホットケーキミックスに、卵と牛乳、つぶしたバナナを加えて生地を作り、焼きあげます。
フライパンにはちみつを煮詰め、カラメル状になってきたら輪切りのバナナを加えて煮詰め、パンケーキにのせます。
シロップをかけて出来上がり! バナナにからめたキャラメルがおいしいパンケーキです。
*バナナの糖質は吸収が速いので、エネルギー切れの朝食や運動後のおやつにぴったり!ホットケーキでカルシウムも鉄も補えるので、育ち盛りのお子様におすすめです。

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坂本雄次プロフィール

坂本雄次さん

1947年神奈川県生まれ。
自身のダイエットのため始めたランニングをきっかけに、当時在籍していた東京電力で陸上部の監督を15年務め、素人の中からフルマラソンを2時間30分で走るランナーを数多く育成する。
1993年にマラソンの各種大会を企画運営する会社「株式会社ランナーズ・ウエルネス」を設立。
日本テレビ 24時間テレビ の「24時間マラソン」、「湘南国際マラソン」などの立ち上げに尽力。間寛平さんのアースマラソンのアドバイザーとしても完走をサポート。

AIMS公認距離測定員
国際スパルタスロン協会日本支部代表
一般社団法人日本ウルトラランナーズ協会(JUA)理事

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